永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

明日を今日よりも面白く。

f:id:nagoya-meshi:20190416221005j:plain

人生の折り返し地点を過ぎた五十路にもなると、これまでの人生で積み上げたキャリアや経験で世の中を渡っていけると思うだろう。私もそう思っていた。しかし、それは大きな間違いである。

もちろん、役に立つ部分はある。過去に経験した苦労や、逆に感動したことは、その人の血となり、肉となっているのは間違いない。私だってそうだ。でも、血や肉、それも過去に作られたものは、必ず劣化する。しまいには腐って、加齢臭どころか腐敗臭を放つ。

だから、昔、どれだけ輝かしい時代を生きていたとしても、所詮、過去は過去。「あの人は今」的な、過去の人として賞讃されたければ、

「どうぞ、いつまでも過去を生きていてください♡」と言うほかはない。

また、定年まで何事もなく平穏無事に過ごす、という徹底した守りの姿勢も一つの生き方であることは認める。が、定年のないフリーランス、それも人に何かを伝えたり、オノレを表現したりすることを生業とする私には絶対に無理だ。現状維持は死に値する。

血や肉の新鮮さを保つには、「今」に全力を尽くすしかない。目の前にある獲物を狙う、血に飢えた野獣でなければならないのだ。

……と、いくら私が吠えても、若いヤツからすれば、サラリーマンであれ、フリーランスであれ、同じ五十路のオッサンとして見ているかもしれない。いや、間違いなくそう見られているだろうな。そんなヤカラには、

「オッサンが夢見ちゃいけねぇのかよ、バカヤロー!」と、また吠えてやる。いくらでも吠えてやる。たしかに、体力も記憶力も若いヤツには敵わねぇよ。カッコよく、スマートには生きらんねぇよ。でも、明日を今日よりも面白くするパワーは誰にも負けねぇぞ。

「昔のオレはこうだった」なんて話を若いヤツにするオッサンには私は死んでもなりたくない。彼らに伝わるのは、オッサンの武勇伝ではなく腐敗臭だから。

「オレは今、こんなことを考えていて、こんなことをしてる」という話がしたい。若いヤツには過去ではなく、未来を見せてやりたいのだ。

懸命に、生きる。

f:id:nagoya-meshi:20190415102731j:plain

新年度ということもあって、新たな環境での生活が始まるという人も多いだろう。あと半月で「平成」から「令和」へと時代も変わるので、新たな気持ちでスタートを切ることができるのも嬉しい限りだ。

私の友人で、料理に携わる仕事をしたいと強く願っていながらも、家庭の事情などでその夢を半ば諦めてかけていた元料理人がいる。が、先日、ある店を任されることになったと知り、夢が叶って本当によかったと思った。

まったく、人生は何が起こるかわからない。それは「運」と言う人もいるだろう。でも、運のよい人も悪い人も、自らそれを引き寄せているように思える。幸運を掴むのは、生きる姿勢がマジメであるか、そうでないかで決まるのだと友人の吉報を聞いて実感した。

実際、その友人もやりたくない仕事に就き、クサることもあっただろう。目の前しか見えず、オノレの将来を悲観したこともあっただろう。それでも、懸命に生きていたのだ。だからこそ、幸運を掴んだ。

もちろん、これから訪れるであろうさまざまな困難も覚悟していると思う。いや、本人にとっては困難ではないはずだ。何しろ、好きなことができるのだから。

私もどれだけ〆切に追われても、まったく困難とは思わない。むしろ、心のどこかでスリリングな日々を楽しんでいる。実は、今がまさにそんな状態なのだが(笑)。

競泳女子の池江璃花子選手ではないが、「神様は乗り越えられない試練は与えない、自分に乗り越えられない壁はない」のである。

今月で私は50歳になる。正直、まだまだ不安を抱えているし、明るい未来を描くことができていない。でも、何かやらねば何も変わらない。そこで、今年に入ってから、以下のことを取り組んでいる。

1.ブログを毎日更新すること。

2.仕事・プライベートに関係なく、できるだけ多くの人と会うこと。

3.1枚でも多くの写真を撮り、1文字でも多くの文章を書くこと。

4.「マイルール」を撤廃し、何事も積極的にチャレンジすること。

これらを少なくとも1年間は続けていく。オノレの運命が、未来が変わることを信じて。

次男と焼肉。

f:id:nagoya-meshi:20190414221510j:plain

今春、高校を卒業して、大学へ入学した次男。そのお祝いをせねばと思いつつ、仕事が忙しくて延ばし延ばしになっていた。今夜、女房は職場の送別会。長男はアルバイト。と、いうことは、今夜は私と次男の2人きり。行くなら今日しかないということで、行ってきた。

あ、わが家では、学校を卒業すると、私とサシでメシを食うというルールがある。それも、私が仕事で見つけた、自信を持ってオススメする店で。

私は頭が悪いので勉強を教えることはできない。でも、生きていく上で必要なことは教えられる。親父とのサシメシは、「本物」を知るということと、大人になれば、こんな旨いものが喰えるようになるということを教えるためである。

f:id:nagoya-meshi:20190414221541j:plain

次男のリクエストは、3年前に高校の入学祝いでも食べた焼肉。店は、地下鉄伏見駅からすぐの『前沢牛舎 伏見屋』。

www.fushimiya.info

ここは、店名の通り、名古屋で唯一、岩手県産の前沢牛が食べられる。『おとなの週末』の覆面調査で名古屋の焼肉店を十数軒食べ歩いたとき、いちばん美味しいと思った店だ。もちろん、ここよりも旨い店もあるだろう。コスパや接客、雰囲気など総合的に評価して、ここがナンバーワンだったのだ。

ここで必ず注文するのは、1人ひと切れずつ5種類の部位が楽しめる「本日の五種盛合せ(2名盛)」(2880円)。

f:id:nagoya-meshi:20190414222727j:plain

この日の内容は、定番の「カルビ」。

f:id:nagoya-meshi:20190414223002j:plain

これまた定番の「ロース」。

f:id:nagoya-meshi:20190414223046j:plain

ここからがやや変化球。脂が多めの「中落ちカルビ」。

f:id:nagoya-meshi:20190414223132j:plain

しっかりとした味が楽しめる「肩ロース」。

f:id:nagoya-meshi:20190414223222j:plain

ロースでも十分にやわらかいのだが、さらにその上をいくやわらかさの「上ロース」。

いちばん最初に紹介した「カルビ」から食べていくのがルールなのだが、まず、ド定番の「カルビ」を食べると、あまりの旨さにヤラれる(笑)。上品すぎる脂の口溶けと炭火のジューシーさに悶絶するほどなのだ。

そして、これまたド定番の「ロース」は、やわらかい食感と赤身ならではの濃厚な味わいにヤラれてしまう(笑)。

f:id:nagoya-meshi:20190414225132j:plain

定番ですらこれほど旨いから、当然変化球も旨いに決まっている。次男が気に入ったのは、「中落ちカルビ」。焼肉チェーンでも見かけるが、脂が多すぎて私は敬遠するメニューでもある。が、ここのは脂が口の中でスッと消えていく。まったく、しつこくないのだ。

f:id:nagoya-meshi:20190414225345j:plain

私のお気に入りは「上ロース」。キムチをのせた上ロースをオン・ザ・ライスで。ひと切れの肉で、この茶碗の中にあるご飯の半分くらいはイケる(笑)。それほどご飯がススム君なのだ。

「本日の5種盛合せ」を平らげた後は、「赤身ロース」(1200円)を堪能。これでも十分に旨いと思ったのだが、そのはるか上をいっていたのが希少部位の「イチボ」(1880円)。

f:id:nagoya-meshi:20190414234303j:plain

ここの「イチボ」は、友人2人と行ったときに必ず注文する。あまりの旨さにおっさん3人が半狂乱になって大騒ぎするのである(笑)。いや、それほど旨いのだ。脂の繊細な口溶けと赤身のしっかりとした味わい。そのバランスが秀逸すぎるのである。

f:id:nagoya-meshi:20190414234528j:plain

写真では伝わらないが、次男も大喜び。息子よ、これが旨い肉だ。大人になって稼げばこんな旨い肉が喰えるんだぞ(笑)。

ここには書けないが、次男はこれまで本当にいろいろあった。でも、家族の中で次男がいちばんやさしい心を持っていることを私は知っている。これからは、周りに悩んだり、困ったりしている人がいたら、そばにいて一緒に泣いてあげられるような人になってほしい。私にはそういったやさしさを持ち合わせていないから。 

f:id:nagoya-meshi:20190414235306j:plain

〆は「伏見屋 杏仁豆腐」(500円)。甘すぎず、口の中をリセットさせてくれる。美味しかった!

f:id:nagoya-meshi:20190414235437j:plain

小僧、イイ面構えになったな。大学を卒業したら、また一緒に行こう。あ、その前に成人式を迎えたら、呑みに行こう。そして、語り合おう。今はそれが何よりも楽しみだ。

いちばん大切なもの。

和歌山・南紀白浜へ1泊2日間の出張だった。

昼過ぎに仕事を終えて、帰りに新宮市の熊野速玉大社へ立ち寄った。

f:id:nagoya-meshi:20190413235306j:plain

f:id:nagoya-meshi:20190413235321j:plain

f:id:nagoya-meshi:20190413235340j:plain

f:id:nagoya-meshi:20190413235403j:plain

f:id:nagoya-meshi:20190413235420j:plain

f:id:nagoya-meshi:20190413235439j:plain

社殿を前に、二礼二拍手一礼し、心静かに手を合わせる。

まず、心に浮かんだのは、息子たち。

その後に、女房。

息子たちは、自分の命よりも大切な存在である。それは断言できる。

女房は、自分の命と同じくらい大切な存在である。それも断言できる。

きっと、私にとって、いちばん大切なものは家族なのだろう。

自分が成り上がりたいとか、自分がもっと大成したいという、いつも抱いている自分の願いというか、野心は出てこなかったのである。

こんなことを書いたら、顰蹙を買うかもしれないが、正直、自分でも驚いている。

私も年をとったのだろうか。それは認めたくないが。

f:id:nagoya-meshi:20190414002356j:plain

f:id:nagoya-meshi:20190414002412j:plain

f:id:nagoya-meshi:20190414002427j:plain

↑おまけ。

新宮市にある『中華そば 速水』で和歌山のチャーラーも食べてきた。このレポートはいずれ、また。

チャーラーの旅。8

f:id:nagoya-meshi:20190622181049j:plain

ラーメン、と聞いて、どんなラーメンを想像するだろうか。九州在住の方は豚骨ラーメンをイメージするだろうし、若い人はコッテリ系のラーメンを思い浮かべるかもしれない。ラーメンとひと口に言っても、住んでいる地域や世代によって捉え方はさまざまなのだ。

私は昔ながらの「中華そば」だな。小学校の頃は、今のように土曜日が休みではなく、昼まで授業があった。母親が出かけていて、家にいないときは、近くの中華料理屋へラーメンを食べに行った。ごくフツーの醤油ラーメン、というか中華そばだったが、それが旨かった。

今でも無性に中華そばが食べたくなる。先日、仕事で一宮の方へ行ったので、『一冨士らーめん』に立ち寄った。

tabelog.com

一宮には、なぜか昔ながらの中華そばを出す店が多いように思える。きっと、私のように、流行りもののラーメンやつけめんよりも中華そばを支持する人が多いのだろう。

メニューを見ると、「チャーハンセット」があった。ブログの不定期連載企画である「チャーラーの旅。」に使えると思い、注文してみた。

まず、出されたのがチャーハン。

f:id:nagoya-meshi:20190404223421j:plain

量は少なめ。半チャーハンだ。見ての通り、醤油の色がしっかりとついていて、口に入れると、醤油の香ばしさがふわっと広がる。食感はパラパラとしっとりの中間くらい。

やや味が濃いと思ったが、1分遅れくらいで目の前に運ばれたラーメンを食べたときに納得した。

f:id:nagoya-meshi:20190404223817j:plain

これがラーメン。デフォルトのラーメンなのに、チャーシューが3枚。ほかにはメンマと海苔、ネギが入っていた。

スープをひと口飲んで「ん?薄い!?」と思ったのだ。が、チャーハンと交互に食べると、ちょうどよい塩梅になる。これ以上濃いと逆に辛く感じてしまうだろう。

ラーメン単品で食べたとしても、食べ終わる頃には薄く感じなくなると思う。それほど絶妙な加減なのだ。やはり、流行っているのはそれなりの理由があるのだ。

チャーラーは、チャーハンとラーメンを交互に食べるべし。今回もその鉄則を実感した。

 

NHK『さらさらサラダ』の公開生放送へ。

f:id:nagoya-meshi:20190411215640j:plain

ある雑誌の取材で数多くの飲食店を取材・撮影することになった。今回は、これまで私が何度か取材に訪れている店に限定したので、基本的には撮影のみ。とはいえ、1日でこなせるのは3軒が限界。5軒、6軒こなせるデキるカメラマンもいるだろうが、私にはムリだ。

飲食店取材のスタートは、ランチ営業している店の場合、それが終わる15時頃から。居酒屋などディナーのみの営業の場合は14時頃。さらに、営業がはじまる午前中に取材を受けてくれる場合もある。

悩ましいのは、午前中の撮影が終わって、14時までぽっかりと時間が空くことだ。約3時間。名古屋市内から自宅に戻ると、往復1時間。昼食を30分くらいで済ましたとして、自宅での滞在時間は1時間半。1時間半でできることもあるが、そのためにわざわざ自宅へ帰るのも何だか面倒臭い。

今日は、午前中に伏見の御園座の近くで、午後は錦3丁目で撮影。そこで思いついたのは、福田ちづるさんがMCを務めるNHK『さらさらサラダ』。

www4.nhk.or.jp

番組はNHK名古屋放送センタービル1階・プラザウェーブ21より公開生放送、つまり、誰でも見学ができるのだ。ちづるさんと私の共通の友人である平山ちゃんを誘って行くことに。当初はちづるさんには内緒で行くつもりだったが、事前に知らせておいた。

f:id:nagoya-meshi:20190411214247j:plain

11時すぎにNHKに到着すると、席は半分ほど埋まっていた。写真には写っていないが、左端の方でちづるさんは西川カークさんと普段見せないような(笑)真剣な表情で打ち合わせをしていた。そういえば、テレビの現場で仕事をするちづるさんを見るのは初めてかもしれない。

そして、11時30分。公開生放送がはじまった。今日は連続テレビ小説「まんぷく」に出演していた俳優・藤山扇治郎さんをゲストに迎えて、仕事やプライベートについて聞くというのが、MCであるちづるさんと西川カークさんの仕事。

CBCや東海に出ていた頃のちづるさんは、元気いっぱいで、美人なのに面白いというイメージだった。しかし、それはレポーターとしての福田ちづるである。今日、私が見たのはMCとしての福田ちづる。物腰がやわらかくて上品。だからといって、キャラが立ってないわけではない。

トップのモノクロ写真は、4月8日(月)第1回目の放送。ちづるさんが自己紹介をした後に

「本当に出てる、NHK」と言ったのを私は聞き逃さなかった。この台詞、スゴイと思った。ちづるさんは民放のイメージが強かったのだが、このひと言で“NHKの人”となったのだ。そこに福田ちづるの凄さを見たような気がした。

そして、私の中で、もう一つ目標ができた。それは、『さらさらサラダ』に出演すること。フードライターでも、カメラマンでも、何でもよい。とにかく番組に相応しい自分になること。それを今後の仕事のモチベーションにしようと思っている。ちづるさん、待っとってちょ。

人生は、出会いである。

人生は、出会いである。

必要な人が、必要なときに、現れる。

「頼むから、オレの目の前から消えてくれ!」と、言いたくなるような、一見、不必要に思える人でも、自分にとっては必要な存在なのである。

逆に、自分に必要がなくなれば、消える。

逆に、いくら自分がその人を必要だと思っていても、消える。

消えた人を、清々したとか、憎んだりとか、恨んだりとか、文句を言ったりしない。

消えた人を、未練がましく追いかけたりもしない。

良き出会いも悪しき出会いも、ただ、ただ、「ありがとうございました」と、感謝する。

そんな人に私はなりたい。

おっと、前置きが長くなった。

f:id:nagoya-meshi:20190411000143j:plain

今日、「北京飯」(↑写真)で有名な安城市の『北京本店』の店主、杉浦充俊さんから、嬉しい報告があった。

インスタで名古屋市中川区『人生餃子』の「皿台湾」の写真を見た杉浦さんがコメントしたのをきっかけに、店主の水谷伸二さんと交流が始まったというのだ。

安城市と名古屋市中川区なので距離も離れているし、これまでお互いの接点はない。が、私はお二人とも取材でお世話になっていて、共通の話題がこの私だったらしい(笑)。ったく、私の知らないところでナニを話してんだか。コワイわっ(笑)。

f:id:nagoya-meshi:20190411000328j:plain

しかも、2人の間ではどんどん話が進んでいて、杉浦さんは水谷さんから「皿台湾」(↑写真)の作り方や調味料なども教わっているというのだ。ただ、まだメールやコメントのやりとりだけで、リアルには会ってはいないが。

「是非、ナガヤさんも一緒に『人生餃子』へ行きましょう」と、杉浦さん。

「北京飯」の『北京本店』と「皿台湾」の『人生餃子』。この2つの人気店の店主がリアルに会ったとき、どのような化学反応が起こるのかが気になる。例えば、杉浦流の「皿台湾」と水谷流の「北京飯」。考えただけでもヨダレが出るじゃないかぁ(笑)。

是非、私は取材したい。いや、喰いたい(笑)。こんなの、仕事なんかじゃない。大人の遊びだ。

やはり、人生は、出会いなのである。