永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

価格。

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Googleの検索窓に「カメラマン」と打って、半角スペースを空けると、「副業」という文字が出る。って、オレは副業でやれるようなことを生業としているのか!? まぁ、Googleの検索窓に出るということは、実際にカメラマンを副業にしようと考えている人が多いってことだろう。また、プロのカメラマンに安く撮影してもらいたいという人もいるから、カメラマンが副業として成立するのだ。

以前、↓ブログにこんな記事を書いた。

nagoya-meshi.hateblo.jp

今でも、1コイン撮影会の告知をたびたび目にする。正直、よくやるなと思う。入り口を広くして、その中から顧客を獲得するのが狙いだろうが、価格で判断する客がはたして上客となり、末永くお付き合いできる関係になるのだろうか。甚だ疑問である。

かなり以前に、子育て中の若いママさんを対象にしたイベント、いわゆる“ママフェス”で、親子写真を撮影する仕事を請けたことがあった。親子写真の撮影会は、ある雑誌の販促活動の一環。だから、ギャラはイベントに訪れた客からではなく、出版社から日当をいただいた。客はタダで撮影してもらえるというもの。

タダゆえに、食事をする時間も取れないほど、ひっきりなしに客が訪れた。しかし、もう2度とやりたくないと思った。タダゆえに、マナーが悪い客も多かったのだ。

例えば、照明機材が並ぶスペースを暴れ回る子供に何も注意しなかったり、撮影の背景に使う紙を引っ張ってビリビリに破ったり、靴のまま上がってヒールで穴を開けたりと、それはもうメチャクチャだったのだ。しかも、謝罪のひと言もない。思わず、

「おい!」と怒鳴ってしまったが、スタッフに制止された。彼らはタダでもお客様は神様、という考えのようだった。

フツーに考えると、高いお金を払う方が上から目線になってもおかしくはない。なのに、タダだから、安いからと価格で判断して来た客の方がなぜマナーが悪いのか。それは商品(私の場合は撮影または文章)が価格に見合っていることをきちんと理解しているからだろう。

正直、私もクライアントの予算に合わせて、仕事を安く請けていたこともあった。しかし、今は値引きには一切応じていない。25年間もかけて培ってきたものを、昨日今日仕事をはじめたばかりの同業者と同じというわけにはいかない。私が扱う商品、写真や文章は私が大変な思いをして生んだ子供のようなものである。そんな大切なものを1コインで売ることはできない。

※写真は名古屋・伏見にあるタイ料理店『マイペンライ』のMIXカオマンガイ。ここはオススメです♪

父と母。

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大阪での仕事が早めに終わった。いつものように現場近くのネットカフェで仕事をしようと思ったが、久しく父と母に会いに行っていないことに気がつき、京都の大谷祖廟へ車を走らせた。

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春のお彼岸だけに、大谷祖廟は多くの参拝客でごった返していた。駐車場に車を止めるだけで30分以上もかかってしまい、大谷祖廟に着いたのは16時近く。16時半には駐車場から出庫せねばならないので、わずかな時間での参拝となった。

焼香をあげて、手を合わせる。目を閉じて、父と母を想う。亡くなる前の弱々しい姿ではなく、元気だった頃の姿が浮かんでくるから不思議。

「これからも護ってください」と、心の中でお願いすると、父と母はにっこりと微笑んだ。

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「お前は、自由に生きているか?」、「お前は、このままでよいのか?」と、私は常に自問自答している。しかし、自信を持って答えられないときや迷ったときに父と母に手を合わせると、自分にもっとも相応しい結果となるように導いてくれるような気がする。

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参拝を終えて、参道を歩いていると、父と母が今の自分を見たとき、どう思うだろうか?と、思った。心配性の母はきっと、

「少しは休んだら?」と言うだろうな。しかし、今が踏ん張りどきなのだ。一分、一秒ももったいない。走って、走って、走りまくって、悔いのない人生を送る。父も母もわかってくれるに違いない。

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ふと、空を見上げると、やたらと青かった。私は思わず、シャッターを押した。

コラボイベント企画中。

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「ペルー料理」と聞いて、読者様は何を想像するだろうか。南米なので、私は豆やトウモロコシ、ジャガイモなどのごった煮のような料理やブラジル料理のシュラスコをイメージした。ところが、それは見事なまでに覆された。

上の写真は、少し前に日本でも栄養バランスに優れたスーパーフードとして話題となった「キヌア」を使ったサラダ。それをセンス良く盛り付けてある。インスタ映えまくりだ。

名古屋市内でさまざまな業態の飲食店を展開するグループのKさんから、名古屋初のペルー料理店をオープンさせたと聞いて食べに行ったのだ。実は食事以外にもう一つ、店を訪問する理由があった。

そのグループが手がける店はどこも洗練されていて名古屋らしくない(笑)。ある店の個室で私とメイクアドバイザーの山村えり子さんとのコラボイベント「メイク&フォト」を開催することができないかと提案するためだった。話を聞いたKさんから、

「それなら、ペルー料理店でやってみてはいかがでしょう?」と逆に提案していただいたのである。

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ペルー料理は、肉料理ばかりと思いきや、↑写真のように魚介を使った料理もある。これはいわゆるカルパッチョだが、野菜やライムをふんだんに使っていてかなりヘルシー。

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↑これはペルーの屋台で出されている肉料理。ハツとハチノスをピリ辛のソースにディップしていただく。これらが美容や美肌に良いのは間違いない。私たちのイベントにもぴったりと思った。

ってことで、ペルー料理を堪能しつつ、とメイク、そしてフォトも楽しめる究極のコラボイベントを開催します!日時や会費などまだ具体的なことはこれから詰めていかねばなりませんが、決まり次第、このブログやFacebook、Twitter、インスタ等SNSで告知します。ただ、私たちが1日で対応できる人数には限りがあります。限定何名というカタチになると思います。興味のある方は是非どうぞ。

料理もさることながら、店内の雰囲気もサイコーなんです!もう、その場に居るだけで創作意欲が湧きまくりでした。是非ここで、ちょっとドレスアップした(←ここがポイントです!)淑女の皆様を撮影したくなりました!そんなステキな店内写真は次に告知するまでのお楽しみということで♪

yamamura-eriko.com

また、イベントや集客のためにメイクとフォトを活用してくださるクライアント様も大募集中です。詳しくは、↑山村えり子さんのHPをご覧の上、お気軽に連絡をください。メイク&フォトのイベントには愛知県内、名古屋市内に限らず、どこでも馳せ参じます!よろしくお願いいたします!

友達。

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SNSを見ていると、不思議に思うことがある。「友達」が3000人以上いるのに、「いいね!」やコメントが数人だったりする。それ、どういう「友達」なんだろう?と。

SNSを利用してネットワークビジネスなどメシのタネにしている人もいるだろうし、リアルな人付き合いが苦手で、SNS上だけのやりとりを楽しんでいる人もいるだろう。それは否定しないが、私は「友達」にそういう関係は望まない。

笑えるのが、女性、それも美人な女性のタイムラインに毎朝「おはようございます」とか「今日も綺麗ですね」とかコメントするおじさん。私は密かに「おはようおじさん」(笑)と呼んでいるが、これが結構多い。

投稿の内容に関係なく「おはようございます」なので、その女性は絵文字を入れて「おはようございます」、「今日も綺麗ですね」の場合は、「ありがとうございます」としか返事することができない。困惑しているのは明らかだ。

「おはようおじさん」は、その女性を何とかしようと思っていて、その方法が「おはようございます」なのか。それとも、コミュニケーションを図ることを喜びとしているのだろうか。私にはさっぱりわからない。

あと、「いいね!」のあり方のも微妙だ。SNSを開いたとき、友達全員に挨拶代わりに「いいね!」をする人もいるという。私の場合、よほど共感したり、それこそ「いいね!」と思わない限りはしないことにしている。

なんて言うんだろうなぁ。「友達」ならディープな関係でありたい。「友達」だから、その人のことをもっと知りたい。会って話をしてみたい。これはごくフツーの感情だと思うのだが、いかがだろう。

SNSが普及してから、「知り合い」や「顔見知り」までもが「友達」に昇格(?)しているような気がしてならない。

さて、一昨日はずっと行きたかった名古屋市港区の『手打うどん 高砂』へ行ってきた。店主の堀江高広さん(写真)にお目にかかったのは、今年2月に大阪で開催された「関西うどん新麺会2020」以来。

「新麺会」ではゆっくりと話ができず、ずっと行こうと思っていたのだ。店の終わりがけにうかがったので、ゆっくりと話をすることができた。そこで感じたのは、匂い。私の周りにいる料理人たちと同じ匂いがしたのだ。うどんやきしめんにかける情熱や思いを聞いていて、堀江さんも彼らと同様に相当な変態だと確信した(笑)。4月に入ったら動き出す企画があり、取材を通じてじっくり話を聞いてみようと思う。

堀江さんと会って話をしたのはたったの2回。でも、彼のことをもっと知りたいし、話してみたい。そう思うのは取材相手への興味というものもあるが、私は彼のことを「友達」だと思っているからだろう。やはり、リアルな「友達」はイイ。

大御所。

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先日、業界の人ではない知り合いから「ナガヤさんって、名古屋では大御所ですよね」と、言われた。

お、おっ、大御所!?芸能人に例えるなら、サブちゃん的な?んなわきゃぁないぢゃないかぁ。私自身は若手だと思ってるし、いつでもヨゴレる覚悟もできている。

若い頃、ナガシマスパーランドの「スチールドラゴン2000」が登場したとき……だから20年前、か。スチールドラゴン2000にグラビアアイドルを乗せて絶叫シーンを撮影するという仕事を請けた。ジェットコースターからカメラが落っこちないように、手とカメラをガムテープで固定して強烈な「G」に耐えながら撮影したことがある。

しかも、当時はデジタルではなく、36枚撮りのフィルム。あっという間に撮り終わるものの、きちんと写っているかどうかもよくわからない。だから、保険をかける意味で5、6回連続で乗った。グラビアアイドルは大喜びだったが、私は本当に死ぬかと思った(笑)。同時にこれが若手の仕事だと実感した。

36枚×6回で、 撮影枚数は216枚。さすがにこれだけ撮りゃ1枚はマトモに使える写真だってある。無事にページを飾ることができたわけだが、そんな仕事、今やれと言われても、やるよ(笑)。

大御所なら自分の技術の至らなさに悩むことなんかないだろうし、人生を達観しているイメージもある。私なんぞ悩みだらけだし、日々の仕事に追い立てられて、心に余裕がなくなることも多々ある。

そもそも、私の写真も文章も技術は我流だし、すばらしい作品を世に出している同世代の同業者は山ほどいる。彼らが本流なら、私は傍流。名古屋めしライターなら、「オオタケさんじゃない方」(笑)。メインではなく、サブ。いわば日陰者だ。そんな知る人ぞ知る存在で構わないとずっと思っていた。

でも、欲が出た。日陰者だって、少しくらい日の目を見てもいいじゃないかと。そう思ったのが49歳の冬。ってことは、まだ1年とわずか。これまでの遅れを取り戻そうと必死に走っているつもりだ。ちょうど、何を思ったのか再び勉強がしたくなって夜間高校に入学した中卒のおじさんと同じようなものである。

だから、キャリアは長くても決してベテランではない。大御所なんてとんでもない。なりたいとも思わないわっ!今はキャリアの長い駆け出し、とでも思っていてくれ。今に見てろよ……。

人生初メイク。

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以前、自分のHPを鋭意制作中であるとお知らせした。今日はその進捗状況を報告させていただこう思う。
コンテンツはだいたい決まり、現在は素材を集めている状態。いちばん困ったのが、自分自身の写真である。何しろ、私は撮る専門。撮られることはほとんどない。自撮りをするのも気が引けるし、知り合いのカメラマンに撮ってもらうというのも何か変な感じがする。

そこで、自分で照明機材をセッティングして、シャッターだけ押してもらうことにした。お願いしたのは、メイク&フォトでお世話になっている山村えり子さん。彼女もまたHPを制作中だったので、それに使う写真も撮ってあげた。まずは、その写真からご覧いただこう。

これらの写真は、すべて山村えり子さんのHPに掲載されている。私たちのコラボ企画、『今の私が好きになる マイナス7歳若見えメイク&フォト』をはじめ、メイク講座の案内なども載っているので、興味のある方は是非ご覧ください♪

この日は、彼女の、いわゆるプロフィール写真と仕事風景の写真を撮影した。プロフィール写真はともかく、仕事風景はメイクを受けるお客さんなしでどうやって撮ろうかと悩んだ。結果、“エアーメイク”を決行(笑)。それっぽく見えてるでしょ?
さて、問題の私の写真。トップ画像にあるのがそうだが、実は私、人生初のメイクをしていただいたのである。

「アナウンサーや、俳優さんは、男性でも当たり前にメイクするから♡」と、えり子さん。不思議なことにプロのメイクさんにそう言われると納得できた。高校時代、文化祭で必ず毎年、女子にセーラー服を借りてメイクまでする野郎がいた。そんな感じじゃないのね。そんなのイヤよ、私(笑)。

メイクといっても、テカり抑えのパウダーをつけ、眉毛を描き、口紅で血色をよくしただけだが、わかるだろうか?モノクロだからわかりにくいか。コラコラ!誰だ!?「キレイなジャイアン」って言ったヤツは(笑)。では、ちょっとアップめの写真を。

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えっ!?アップすぎるって?しかも、顔半分だし(笑)。でも、カメラを手にすると、何となくソレっぽく見えるでしょ?

これからご覧に入れるのが衝撃の問題作(?)。

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これもメイクの力なのだろう。なんかオレ、イイ人みたいぢゃん(笑)。まぁ、HPは見ず知らずの方がご覧になることを前提としているから、これでイイのだ(笑)。

今は忙しすぎて、なかなかHP制作の時間がとれていない。でも、コツコツと作って、私の分身として活躍してもらおうと思っている。この春に何とか完成させたい。皆様、乞うご期待!

愚直。

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愚直、というコトバが好きだ。私の周りには愚直を絵に描いたような人が多い。昨日、『東洋経済オンライン』で紹介させていただいた名古屋市中川区戸田にあるラーメン店『富田屋』の店主、“やっさん”こと石黒靖浩さんもその一人だ。

toyokeizai.net

記事にもあるように、『富田屋』は創業100年以上の老舗みりん屋『糀富』がはじめた。みりんは昔ながらの製法を頑なに護っている。とろみがあり、舐めてみると素朴な甘さが広がる。みりん風調味料とはひと味もふた味も違う。

こんなレベルの高い商品が百貨店にもスーパーにも置いていない。小ロットの生産となるため、問屋に卸していないのである。取引しているのは、昔ながらの酒屋や雑貨屋など。それも、やっさん自らが店を訪ねて取引がはじまったところも多い。

「昔ながらの御用聞きですよ」と、やっさんは言うが、彼のTwitterを見ると、配達や営業で静岡や岐阜など遠方まで足を運んでいる。そのアクティブさは、カメラマン・ライターとして各地を飛び回っている私から見てもスゴイと思う。

みりんの仕込みやラーメン作りも愚直なら、営業も愚直。生き方そのものが愚直なのだろう。だからこそ、すばらしい仲間もいる。それも、リアルな付き合いではなく、Twitterのフォロワー。経営危機を知った彼らがみりんを買い、ラーメンを食べに行くことでリアルな友人となり、そのおかげで経営危機を乗り越えることができたのである。

正直、やっさんの話を聞くまで、私はTwitterに対して、あまり良いイメージを持っていなかった。いつも言い争っていたり、炎上したりしているので、軽いノリでツイートしにくいと勝手に思っていたのだ。原稿を読んだ編集担当からは、

「Twitterは一生懸命頑張っている人には温かい場所ですよね」とのコメントを頂戴した。Twitterは、デマや悪評もあっという間に拡散するが、その反面で善いことも瞬く間に拡散するということを学んだ。

私も愚直なまでに写真や文章のクオリティを追求したい。今までサボりにサボってきたから今さら感は拭えないかもしれない。でも、今やらなければ、本当にくそったれの人生で終わってしまう。残り少ないカメラマン人生、ライター人生をとことん愚直に生きるのだ。