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永谷正樹のなごやめし生活

「なごやめし」について書き綴ります。

「なごやめし」とは何か?6(最終回)

汎用性の高さから生まれる「新なごやめし」 

講談社(現在は講談社ビーシー)発行のグルメ情報誌『おとなの週末』で'14年11月号から翌'15年8月号まで「おと週認定“新名古屋めし”」という連載企画を担当した。見開き2ページで、右側には定番の「なごやめし」を、左側にはそれをアレンジした「新なごやめし」を紹介するというものだった。

おとなの週末』は、客に扮したライターが実際に飲み食いした店のなかから、いちばん美味しかった店を取材するというのが編集方針だった。私はひつまぶしや台湾ラーメンきしめんあんかけスパなどの進化系メニューを探しては食べに行った。それら「新なごやめし」は今後このブログでも紹介するので具体的なメニューや店の情報はここでは割愛するが、食べ歩くなかで気が付いたことがある。

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例えば、ひつまぶし。ご存じの通り、薬味やだし汁で味の変化が楽しめる「なごやめし」の代表選手だ。今や鰻に限らず、牛や鶏、海老天、とんかつを使ったひつまぶしが登場している。それらはすべて鰻のひつまぶしと同様に薬味とだし汁で味変できるのが特徴だ。

ほかにも味噌かつの味噌ダレや台湾ラーメンの台湾ミンチ、あんかけスパのあんかけソースなど、「なごやめし」には独自の味付けをしたものが多い。私はこれらに共通している部分があることに気が付いたのだ。

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それは、汎用性の高さ。つまり、どんな食材にも合うという点だ。実際、牛や鶏などのひつまぶしと薬味やだし汁の組み合わせはまったく違和感がなかった。だからこそ、「台湾まぜそば」のように、既存の「なごやめし」をさらにアレンジした「新なごやめし」が生まれやすいのだ。

しかも、よく考えてみると、とんかつに味噌ダレをかけた味噌かつや今までにないミートソースとして作ったあんかけソース、ナポリタンを熱々の鉄板にのせて、周りに溶き卵を流したイタリアンスパゲティなど既存の「なごやめし」の多くは、もともとあったメニューをアレンジしたものだといえる。

以上、これまで6回にわたって書いてきたが、まとめてみると「なごやめし」とは、

名古屋市及びその周辺地域における先人たちの知恵と、飽くなき探究心と独自性、さらには地元の人々の寛容性によって、生まれた料理である」と、私は考える。

かなり漠然とした、具体性のない表現になってしまったが、そもそも400年の歴史があるといわれるきしめんと、生まれてから10年にも満たない台湾まぜそばを同列にして語ることに無理があるのだ。だからこそ、「なごやめし」の奥にある、それぞれの共通した理念の部分まで掘り下げるしかなかった。

他府県の郷土料理に地元の食材は欠かせない。豆味噌を使った味噌煮込みうどんや味噌かつ、味噌おでんなどもあるにはあるが、「なごやめし」において地元の食材はさほど重要ではない。それよりも作り手のアイデアが重視される。そこに私はモノづくりのまちとして日本経済を支える名古屋らしさを感じるのである。

「『なごやめし』って何ですか?」と、名古屋の人に問うたとき、

味噌かつとかひつまぶしとか…」という返答が圧倒的に多い。つまり、「なごやめし」とはメニューの総称である。これはこれで間違ってはいないと思うし、ほかにも独自に「なごやめし」論を展開している方もいらっしゃると思う。

このブログに書いた「なごやめし」の定義はあくまでも現時点での私の考えである。絶対に正しいと思っているわけではないし、それを他人様に押しつけようなどとはこれっぽっちも思ってはいない。人それぞれでよいのだ。「なごやめし」という言葉ひとつでいろんな意見を論じることができるわけで、それもまた「なごやめし」の魅力ではないだろうか。(終わり)