永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

老舗喫茶店『コンパル』で名古屋人検定・実技テスト?

昨日は沖縄からのお客様のアテンド。某所での打ち合わせの後、時間が少し余ったので名古屋の老舗喫茶店『コンパル』で名古屋の喫茶文化に触れていただこうと思っていた。しかし、『ヨシヅヤ』でお土産に地元食品メーカーの商品を買うことに。それはそれで楽しかった。

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『コンパル』には私自身、忘れられない思い出がある。小学校入学前か低学年の頃だったと思う。母親が名鉄劇場や御園座、中日劇場へ観劇へ行くと、必ずお土産に『コンパル』のサンドイッチをお土産に買ってきてくれたのだ。

「ミックスサンド」にぎっしりと詰まったコールスローサラダをテーブルや床にこぼしながら夢中で頬張った。幼い頃の私は食べ物の好き嫌いが多い上に食が細かったが、『コンパル』のサンドイッチは別だった。

「こんな旨いものがこの世の中にあったのか!」と、感激したことを今でも鮮明に覚えている。

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『コンパル』は昭和22年創業。サンドイッチは米軍基地で働いていたコックがレシピを作ったそうだ。大須本店の山口篤店長によると、

「玉子サラダを名古屋で初めて出したのがウチだと聞いています。他店で玉子サンドといえば玉子焼きだったんですね」とか。

味の決め手となるマヨネーズやドレッシングは、それぞれ主張せず、いろんな味が広がるようにと自家製を使用。さらに、パンは耳の部分をカットすることを前提に、やや大きめのサイズのものを特別に作ってもらっているという。60年経った今でも人々に愛され続けとるのは、そんなこだわりがあるからだろう。

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また、母はサンドイッチのほかに「ホットドッグ」や今はメニューにない「ハンバーガー」を買ってきてくれたこともあった。「ハンバーガー」はパティと玉ネギのスライス、ケチャップ、マスタードのシンプルなメニューだった。特筆すべき点や思い出はとくにない(笑)。

一方、ホットドッグは中身の約8割がキャベツで(笑)実に食べ応えがあった。キャベツには塩・コショウでやや濃いめの味付けがしてあって、10割がキャベツでも十分に美味しかった。ときどき、わが家でも作るのだが、キャベツの量や味付けは『コンパル』の「ホットドッグ」がベースとなっている。

あと、『コンパル』はコーヒーにも独自のこだわりがある。それは、ネル(綿)ドリップでポットに落としたコーヒーを温めて再びドリップする“かえし”と呼ばれる独特の手法でいれるのだ。それも限られたスタッフしかコーヒーをいれることができないというからスゴイ。“かえし”を家で真似てみたが、雑味が出るだけだった。前出の山口店長によると、“かえし”で丁度良い塩梅になるように焙煎してもらっているそうだ。

コーヒーに添えられるミルクも乳脂肪分の高いものを使用している。これが深煎りでコクのあるコーヒーとよく合うのだ。最近はあまり見かけなくなったが、余ったミルクを手や顔にすり込んでいるオバチャンもいた(笑)。

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私は『コンパル』では冬でも「アイスコーヒー」を注文する。デミカップに入ったホットコーヒーに砂糖を入れて、氷がぎっしり入ったグラスに注ぐのが『コンパル』流。しかし、躊躇っているとカップからコーヒーがこぼれてしまう。一気に注ぐのがコツなのだ。そんなことから、以下のことを私は「名古屋人検定・実技テスト」と勝手に決めている(笑)。

1.『コンパル』の「アイスコーヒー」をこぼさずに作る。

2.『コンパル』の「ミックスサンド」をこぼさずに食べる。

もちろん、私はそんなこと朝メシ前、と言いたいところだが、時々失敗するというのはナイショの話(笑)。