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永谷正樹のなごやめし生活

「なごやめし」について書き綴ります。

「鉄板焼き太きしめん」は家族で食べた焼肉がヒント!?

きしめん

麺類食堂で「天ぷらきしめんを赤つゆで」、「白つゆでかけきしめんを」など、さまざまなリクエストをする客がいるという話を耳にする。つゆを替えるくらいなら、まだカワイイものである。なかにはメニューにないものを求めるツワモノもいるらしい(笑)。今でこそあまり見かけなくなったが、ひと昔前には麺類食堂にはオムライスやカレーライスがあった。ある麺類食堂の店主から、それらの洋食は客の要望でメニューに採り入れたと聞いた。

このようなことは何も麺類食堂に限らず、喫茶店や寿司屋でもあったと思う。私がグルメ取材を始めたばかりの頃、「名古屋では専門店は成立しない」という話を幾度となく聞いた。つまり、店主が専門としている料理以外のものも用意した居酒屋的な店しか流行らないということだ。

そもそもオムライスやカレーライスが食べたければ洋食店に行けばいいのであるが、それだけ客と店の距離が近いのだろう。あまりワガママなリクエストはいかがなものかと思う反面、私はそこに名古屋らしさを感じてしまう。それに「なごやめし」として知られる小倉トースト味噌かつも客のリクエストから生まれたのだ。

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↑写真は『朝日屋』の「焼き太きしめん」。テレビ朝日『マツコ&有吉 怒り新党』で私が紹介されていただいた一品だ。放送直後には店の前に行列ができ、昼の休憩もとることができないほど多くの客で賑わった。1年経った今でも「テレビを見た」という客が訪れるという。

「焼き太きしめん」がメニューにくわえられたのも10年ほど前に客からリクエストされたのがきっかけだった。普通に醤油やソースで作っても面白くないと思ったご主人と女将さんは、味噌やカレーなど思いつく調味料をすべて使って試作を繰り返した。しかし、納得のいく味にはならなかった。

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「ある日、家族で焼肉を食べたんですよ。肉を食べ終わったホットプレートにきしめんを入れたらすごく美味しかったんです。すぐさま、これだ!って(笑)」と、店主の堀場剛さん。

焼肉のタレは、店の焼肉定食に使っている自家製で、先代が考案。醤油にすり下ろしたニンニクや唐辛子などをくわえたパンチのある味だ。強火で炒めるため、通常のきしめんでは切れてしまったことから、釜揚げきしめんに使う「太きしめん」に替えた。幅が広い分、タレの味をよく吸い、全体のバランスが良くなった。

また、名古屋の喫茶店ではお馴染みの「イタリアンスパゲティー」のように、熱々の鉄板で食すのもポイントだ。溶き卵も流し入れてあり、絡めて食べるとマイルドな味わいになる。ご飯にも合うが、キンキンに冷えたビールとの相性も抜群だ。

「焼き太きしめん」は、客のリクエストと店主の飽くなき探究心から生まれたのだ。