永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

仕事での食べ歩きは、どこまでも客目線で。

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煽り運転が原因の悲しい事故が相次いでいる。ハンドルを握ると人格が変わるような人は、きっと日常生活で何かしらのストレスを抱えているのだろう。それは、ネットで悪口を書き殴る人も同じだと思う。普段とても使わないような暴言を吐くことで心のモヤモヤをスッキリとさせているのだ。

disる対象となるのは、政治家や芸能人、経営者、マスコミ…。リアルに接点のない相手ばかりなので叩きやすいのだろう。私が出版業界で仕事をしているせいか、「マスゴミ」と言われると、さすがにカチンとくる。少なくとも私の周りの同業者、とくに報道系の仕事をしている人たちには本当に頭が下がるほど真摯に取り組んでいる。権力のチェック機能としての役割をきちんと果たしているのだ。文句があるなら、匿名ではなく、正々堂々と名乗るべきだ。それがマナーというものだ。

また、グルメブロガーが飲食店をターゲットにdisることもある。

「オレは店のためを思って書いているんだぁぁぁっっっ!」と、キレられるかもしれない。でも、それを読まされる側は不快そのものである。この際だから、ハッキリ言っておこう。それ、恋人や妻への暴力、いわゆるDVと同じで、歪んだ愛だから。

グルメブロガーが上から目線になるのは、

「いろんな店で食べ歩いているオレはエライ!」と、錯覚してしまうのだろう。これもハッキリ言っておこう。グルメブロガーだろうが、マスコミだろうが、有名人だろうが、店によっては一人の客だから。

15年前、あるグルメ情報誌で仕事を始めたとき、私が勝手に師匠だと思っている編集者から、仕事での食べ歩きの心得を叩き込まれた。それは、

「何も難しいことじゃない。恋人や奥さんと一緒に行きたくなるような店かどうかってことだよ。店の客となる読者の代わりに行くんだ。どこまでも客目線であることを忘れるな」というものだった。記事を書くにあたって、専門的な知識は必要である。が、スタンスは、やはりどこまでも客目線なのだ。

もちろん、食べ歩いていれば、自分の好みに合わない店もある。しかし、その店が存在するということは、一定の支持を集めているのだ。それが味なのか、それともサービスなのか、雰囲気なのか、ロケーションなのかはわからないが。自分の好みに合わないからといって、感情的になって悪口を書き殴るという行為は、その人の人格を疑ってしまう。

お気に入りの店で美味しいものを食べながら、店の人と美味しいものについて語り合えば、日常のストレスなんて消えちゃちゃうんだけどなぁ。

※写真は今日撮影した名古屋駅西口『花○商店』の「鉄板ナポリタン」。本文とはまったく関係ありませんが、あまりにも美味しそうだったので載せました。