永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

地下街で人情溢れる店主のサービスと絶品串揚げに、酔う。

県外の人から「名古屋はやたらと地下街が賑わっている」と言われたことがある。実際、名古屋人は真夏や真冬になると、地下街に潜る(笑)。さて、皆様は地下街にある飲食店にどんなイメージを抱くだろうか?地下街といえども、都心の一等地。ゆえにテナント料が高いので、出店できるのは、どうしても大手外食チェーンになりがち…。

実際、名古屋駅太閤通口に直結している地下街『エスカ』は、名古屋を代表する外食チェーン店で占められている。しかし、そんななかで昭和46年の開店以来、ずっと変わらない味と人情味溢れるサービスを守り続けている店がある。それが『珍串』だ。

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店名からもわかるように、串揚げや串焼きの専門店。絶対に注文したいのは、「串かつ盛り合わせ」(950円)。内容は、豚とねぎま、エビ、うずら、玉ねぎ、なすの6本。どれもカリッと揚げた衣の中に食材の旨みを封じ込めている。とくに「豚」と「ねぎま」は最高に旨い!思わず、唸ってしまったほど。

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いずれも甘みのある脂と濃厚なコクのある赤身が特徴の三重県産さくらポークのバラ肉を使用。シンプルに串焼きにしても旨いが、肉の旨みやジューシーさを存分に味わうには、やはり串揚げがいちばん美味しいと思う。

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ここの串揚げは味噌ダレを抜きにしては語れない。食べる前、やや甘めの味付けをイメージしたが、見事に予想を裏切られた。和風ダシの旨みと味噌のコク、ほのかな酸味が絡み合う、何とも複雑な味わいなのだ。串かつを平らげた後も箸休めのキャベツで味噌ダレを一滴残らず拭ってしまったほど。

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それと、忘れてはならないのが店主の加藤高幸さんの存在だ。料理の味はもちろんだが、加藤さんとのおしゃべりを楽しみに来る客も少なくはない。

「ウチは地下街にあるんだけど、路面店と変わらないサービスを心がけているよ。席を移動してもらったお客さんに“引っ越し手当”として何かサービスしたり、ときにはお客さんの隣に座っちゃうこともある。それが僕も楽しいんだよ」と、加藤さん。

何を隠そう、私もこの人懐っこい加藤さんの笑顔にヤラれた一人である。久しぶりに呑みに行こうか。