永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

ターニングポイント。【中編】

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【前編】は↓こちら。

nagoya-meshi.hateblo.jp

2000年7月。レギュラーの仕事が全部なくなった。私が何かをやらかしたわけではなく、誌面のリニューアルだった。当時、レギュラーは4本あり、それをこなしていれば食っていけた。が、全部同時に失った。フリーを辞めてサラリーマンに戻ろうと思った。それほどショックが大きかった。

「今まで忙しかったから、休みをもらったと思ってゆっくりすればいいじゃない」という女房の言葉に救われた。とはいえ、仕事場へ行っても何もやることがない。ヒマに任せて、自分のホームページを作成した。

ただ、自分の作品を並べてもつまらない。一人でも多くの人に見てもらえるようなコンテンツを考えねばならないと思った。編プロでの修業時代も含めて自分の作品を読み返してみると、やたらと名古屋の喫茶店を取材していたことに気がついた。

試しに「名古屋 喫茶店 モーニングサービス」と検索してみたところ、

「ドリンク代のみでトーストやゆで卵が付く名古屋独自の喫茶文化。中にはおにぎりや味噌汁が付く店もある」というくらいの情報しか見つからなかった。私が知りたいのは、おにぎりや味噌汁が付く店はどこにあるか?ということだった。どのホームページにも具体的には書いておらず、ウワサや憶測のように感じた。

そこで、ドリンク代のみでいろんなものが付く豪華なモーニングサービスやコーヒーを注文すると付いてくるオマケなど、実在する店を紹介しつつ、名古屋の喫茶文化を発信するホームページにしようと思ったのだ。

何しろ、やることがないので(笑)、毎日喫茶店を訪ねてはデジカメで写真を撮って、好きなことを書いた。それがたまったところでホームページを公開した。名古屋の喫茶文化を写真と文章で具体的に紹介したライターは、この私がはじめてであると断言できる。

当時はまだブログすらなかったので、ホームページのアクセス数はどんどん増えていった。'05年に愛知万博を控えていたこともあって、ホームページ経由で仕事のオファーも沢山いただいた。この頃から、当時もっともやり甲斐を感じていたグルメ取材を自らのテーマとした。

同時に、テーマに沿わない仕事や、私でなくてもできるような仕事は断ることにした。かなり勇気の要ることだったが、これから10年、20年と仕事を続けていくには、専門分野が必要だと思ったのだ。

おっと、また長くなった。続きます(^^;)