永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

現場こそが最高の学びの場である。

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スタジオを持っていない私は、ロケ撮影専門のカメラマンである。まず、現場へ行くと、撮影スペースを決める。

1.被写体からカメラの位置まで十分な距離が取れるか。

2.照明機材を設営するスペースがあるか。

3.現場の照明の種類は何か。

4.外光がどの程度入ってくるか。

5.壁や天井の色はどうか。

などをその場で判断して、ライティングを決めるのだ。しかし、カウンターだけの店や席の間隔が狭い店などベストな状態で撮影に専念できる現場の方がむしろ少ない。そこで限りなくベストを尽くすのである。

だから、現場こそが最高の学びの場なのだ。

また、文章力をつけようと思ったら、書いて書いて書きまくり、本を読んで読んで読みまくるしかない。だから、私は毎日ブログを書いているのである。

何度も書いているが、今年50歳を迎えるにあたって、写真家として、文筆家として、ひとまわりもふたまわりも成長することを目標に掲げた。それを実現するためには、撮影する機会、文章を書く機会を増やすことだと考えた。

そこで、あるネットメディアでの私の仕事スタイルを猛省した。と、いうのは、ネットメディアゆえに交通費や撮影のために用意していただいたメニューの代金など経費が出ないため、過去に取材した写真と記事を流用していたのである。

それは、編集プロダクション時代からの慣習でもあった。当時、風俗やキャバクラの女性の写真を複数の雑誌に送っていたのである。仕事の効率や利益を考えれば、このやり方でも問題ない。取材でお世話になったお店も複数のメディアで採り上げられた方が嬉しいだろう。

しかし、その分、撮影する機会が、文章を書く機会が減るのである。つまり、写真家として、文筆家として成長する機会を自ら潰していたのである。そのネット媒体に限らず、すべてのメディアに撮りおろしの写真と書きおろしの文章を提供しようと心に決めた。

その思いをFacebookの友達で飲食店に携わる方に訴えたところ、多くのコメントをいただいた。何度も足を運んだお店の人もいれば、Facebookだけで繋がっている人もいた。中には、名古屋を代表するうなぎ屋さんの店主や料亭のオーナーから心温まるメッセージもあった。

読んでいて、涙が出た。もちろん、取材されることはお店の売り上げにもつながるから大歓迎なのだろう。でも、皆様から寄せられたメッセージの一つ一つから、こんな私を応援したいという気持ちが伝わってきたのだ。もう、いくら感謝しても足りないほどである。

ずっと一人で仕事をしていると思っていた。しかし、私の仕事であり、屋号にもなっている「取材」は、相手があってこそ成立するものだと、独立して四半世紀も経ってから気がついた。

写真や文章のスキルを上げることはもちろんだが、それぞれの現場で活躍する人たちに会うこと。これも私にとって大きな学びの場になるのは間違いないと確信した。メッセージとコメントをいただいた皆様、順番に取材へうかがおうと思っています。よろしくお願いいたします。