永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

料理に込められた人間ドラマに迫りたい。

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先日、取材した店のご主人から、とてもありがたい言葉をいただいた。

「記事を読んだ私の友達が、『取材した人って友達?すごく詳しく書いてあるよね』って言ってましたよ」と。

私の専門ジャンルはグルメではあるが、食べ物そのものがどうこうよりも、それを作った人の方が気になって仕方がないのだ。

これまでどのような人生を歩んでこられたのか。なぜ、料理人を志したのか。どんな味を、そしてどんな店をめざしているのか。家族は、子供はいるのか等々。聞きたいことは山ほどある。ときには記事には関係ないことを延々と話し込んだりしてしまう。だからどうしても取材時間が長くなってしまう。

以前に私が取材した中に、お弁当チェーン店出身の店主がいた。

「ある日、この弁当を自分の家族に胸を張って食べさせることができるのかって考えたんですよ。で、絶対にムリだな、と。それで辞めたんです」

ちなみに彼は名古屋でも指折りの人気蕎麦店の店主である。「家族に食べさせることができるか」という自身に対する問いかけが蕎麦を打ち、だしをとり、料理を作るバックグランドとなっているのである。

店で出される料理には、料理人それぞれの人間ドラマがある。そこに私は迫りたいのだ。だから、私は料理だけではなく、料理人にもレンズを向けるのである。

※写真は、名古屋市中川区『人生餃子』の店主、水谷伸二さん。ブログの内容とは関係ありませんが、イイ顔をしてらっしゃるので掲載しました。