永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

私の財産。

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思春期の頃は、自分でもワケがわからないくらい、小さなことでイライラしていた。何か、こう、世の中のすべてが敵に見えて、感情をコントロールすることができなかった。

そして、今、50歳を前に、また自分でもワケがわからないくらい、この先の人生に不安を感じることが多かった。いや、現在進行形だから、「不安を感じている」だな。

これまで後悔しない生き方をしてきたつもりだったが、ああすればよかった、こうすればよかったと悔やむことが多い。取り越し苦労だとわかっているのに。

そんななか、某雑誌で20軒もの飲食店を取材・撮影せねばならなくなった。〆切は5月の半ばだが、私が立てた目標はGW前。新規で取材するにはあまりにも時間がない。

と、いうことで、これまで何度か取材したことのある店であれば、撮影だけで済む。撮影は店内と料理を1カットずつ。所要時間は約30分。だいたい、1日3~4軒。効率よくまわれば5軒だって可能だ。

Facebookで繋がっている方にメッセンジャーで取材を申し込むと、皆、快諾してくださった。しかも、「明日、お邪魔してもイイですか?」というムチャなお願いも笑って許してくれた。

全国誌とはいえ、掲載スペースはかなり小さい。にもかかわらず、大変喜んでいただいた。撮影したメニューをお土産にくださったり、別の料理まで作っていただいて、お土産に持たせてくださった方もいた。

もちろん、取材を受けることは集客に繋がるわけで、メリットが大きいというのもあるだろうが、まるで古い友人と再会したかのように温かく迎えてくださったのである。いちばん嬉しかったのは、

「ブログ、見てますよ」とか「Facebook、見てますよ」という声。フードライターなんて名乗るのもおこがましい一介の雑文書きに興味を持ってくださったことが何よりも嬉しかった。

あと、撮影する店はあと2軒ほど残っているが、今日で20軒分の撮影を終えた。毎日、お店を訪ね歩く中で、取材先の皆様の温かい気持ちに触れて、今まで私がやってきたことに少しだけ自信が持てた。

フリーとなって約四半世紀。思えば、多くの人々と出会った。それは、紛れもなく私の財産である。これまで多くの皆様のおかげで今の自分があると思うと、心の中の迷いが少しだけ小さくなったような気がした。

私を取り巻く、すべての皆様、ありがとうございます。

※写真は、本日取材でお世話になった千種区仲田『蓬左茶寮』の店主、松本善隆さん。