永谷正樹のなごやめし生活

「なごやめし」について書き綴ります。

マツコ&有吉の名古屋めし論。

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パソコンのHDDを整理していたら、2016年3月に「有識者」として出演させていただいた『マツコ&有吉 怒り新党』の動画データが見つかった。久しぶりに見たが、今見ても面白い。とくにマツコさんと有吉さんによる名古屋めしの分析は、かなりスルドイ。

「名古屋の方、誤解しないで聞いてほしいんだけど、ちょっと入る下品さがイイんだよね。あの感覚ってほかの街ではないんだよ。下品だ、下品だって言いながら旨いのよ!」と、マツコさん。 

「遠慮がない感じがするよね」と、有吉さんが話を振ると、

「もう、旨けりゃ何でもイイだろうっていうね。辛いのがイイんだよ!甘いのがイイんだよ!っていう、何かね、ホワンとしたのがないのよ」と、マツコさん。

実にスバラシイ。私は地元に居ながら、東京のメディアに名古屋のグルメを紹介している。だから、常に東京目線を意識してきたつもりである。とくに前出のマツコさんの発言。これをディスる名古屋人はいないだろう。冒頭でも「名古屋の方、誤解しないで聞いてほしいんだけど」と、わざわざ前置きしているし。

しかし、名古屋で暮らしている私が同じことを言うと、名古屋市民、いや、愛知県民を全員敵にまわす可能性だってある(笑)。実は「名古屋めし=下品」ということは、私も感じていて、あ、もちろん、マツコさんがおっしゃる通り、イイ意味での下品ってことね。それを取材先でぶつけたことがある。

私が下品、というかゲスな味だと思うのが、きしめんのつゆである。カツオや昆布を使ったダシと比べると、とても上品な味わいとは思えないのだ。何度も言うが、イイ意味でね。それをきしめん店の店主に直撃したのである。

聞き方を一つ間違えただけで立腹して取材そのものがNGになりかねない。聞き方を考えに考えたのだが、適当な言葉が思い浮かばない。

「あの、これはあくまでもイイ意味で、ということなんですけど、名古屋のきしめんのつゆって、カツオ節を使う関東風や関西風の昆布だしに比べると決して上品じゃない。言うなれば、ゲスな味だと思うんです」と、私。それを聞いた店主は、

「そうや。その通りや。上品か下品かって言ったら、下品でしょ」と、立腹されるどころかあっさり認めた(笑)。

下品という言葉に嫌悪感を覚えるのであれば、庶民的と変換してもよいだろう。名古屋めしのすばらしさは、お上しか食べられなかったものが時代とともに庶民も口にするようになったのではなく、もともと庶民による庶民のためのものであるというところだ。それと、有吉さんの「遠慮がない感じがするよね」とマツコさんの「もう、旨けりゃ何でもイイだろうっていうね」、この2つの名古屋めし論を体現しているのがこれだ。 

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『長命うどん』のきしめんと中華そばのミックス、通称“き中”(ころ)。ほかにも、うどんとそばがあり、それぞれ組み合わせることができる。

このメニューは、うどんと中華そばの小盛(いわゆる並盛)を2つ注文した客を見た店主が1つの丼に入れたのがはじまりという。もう、本当に遠慮がないし(笑)、旨けりゃ何でもイイって感じがする(笑)。

『長命うどん』を知らない方にあらためて説明するが、この「き中」のつゆはうどんに使うものとまったく同じである。しかし、これが関東風や関西風のつゆだったら……。絶対に美味しくないと思う。ムロアジがベースのゲスな味だからこそ、このメニューが成立するのだ。