永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

チャーラーの旅。13

名古屋市内から刈谷市や安城市へ向かうとき、ずっと気になっていた店があった。大府市の『きょう和はんてん 中京女子大前店』だ。今は中京女子大ではなく、女子レスリングで有名な至学館大学になっているが。

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店の前を通るたびに、いかにも中華屋という外観に惹かれていたものの、行くことはなかった。ランチのタイミングを逃したある日、やっと行くことができた。到着したのは、13時半すぎ。それでも店内は6割くらい埋まっていた。カウンター席に座って、注文したのはもちろん、チャーラー。あ、「ちゃーはんランチ」という名前だったかな。値段は650円。安っ!

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まず、運ばれたのはラーメン。具材はチャーシューとメンマ、ネギ、海苔とシンプルそのもの。いかにも中華屋のラーメン。味付けは濃くもなく薄くもなく。いや、濃厚な味わいがウケる今どきでは、薄味の部類に入るかな。

見ていないが、グルメの評価サイトでは、「特徴がない」とか書かれそうだ。町中華のラーメンは、特徴がないのが特徴なのである。ラーメンを上から目線で評価したければ、ラーメン屋へ行けばよいのだ。

「チャーラーの旅。」はちょっと違う。もちろん、味は重要ではあるが、すべてではない。町中華ならではの空間とそこに流れるゆるーい時間そのものを楽しむのである。

ラーメン屋のラーメンの味付けが濃いので、中華屋のラーメンもそれに合わせて濃くなっている傾向があると私は思う。しかし、ここのラーメンは時代に流されることなく、昔のまま。私が子供の頃に食べたラーメンを思い出してしまったほど。
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それは、炒飯も然り。ガツン!と醤油の味と香りが広がる濃い味付けの炒飯よりも、醤油は香りつけ程度で塩とコショウで全体のバランスをとっている炒飯の方が私は好きだ。炒飯単品であれば濃い味もアリだが、チャーラーの炒飯はラーメンと交互に食べることを前提としているので、やや薄味が好ましい。って、何度も書いてるよね。

ココの炒飯も実にシンプル。油も少なめ、というか、油感を感じさせないほど米の一粒一粒を油がまんべんなくコーティングしているのだろう。パラパラ食感で食べてもしつこくないし、飽きもこない。完成度は相当高いと思った。

チャーラーにとって、薄味は正義なのである。