永谷正樹のなごやめし生活

「なごやめし」について書き綴ります。

合格。

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保育園の頃だったと思う。長男は蚊やハエなど小さな虫をやたらと怖がった。それを克服しようと、女房は昆虫図鑑を買い与えた。長男は夢中になって読んだ。学校から帰ってくると、おやつを食べながら毎日ページをめくっていた。それは中学校くらいまで続いた。高校時代もときどき図鑑を引っ張り出しては読んでいた。

図鑑から昆虫のことだけではなく多くのことを学んだ。その昆虫は日本のどの地域に生息するのかも書いてあるので、地理も頭に入る。しかも、それは日本国内だけではない。外国の国名や国旗、おおよその位置も図鑑で覚えたと思う。私はそれが本当の学習であると思った。

図鑑を手にしてから、虫が大好きになった。私も、女房も、長男の知的好奇心を満たすためにできることはしようと思った。小学校へ入学すると、岐阜の「名和昆虫博物館」が主催する昆虫楽会にも参加した。夏休みには虫取り網を持って虫を追いかけ回した。長男の興味はどんどん広がり、水辺の生き物も好きになった。たまたま名古屋の藤前干潟へ行ったとき、「藤前干潟を守る会」の環境学習プログラム、ガタレンジャーJrにも入会して多くのことを学んだ。

高校時代は部活に熱中し、少しだけ昆虫から離れたものの、進路を決める際に「虫(生物)のことを本格的に学びたい」と、生物学部のある大学へ入学した。長男は次の授業まで時間があるときや、バスを待っている時間を利用して図書館へ行っているという。そこは長男にとっては宝の山。何しろ、一般の書店では売っていない学術書が山ほどあるのだから。

幼い頃から外来種の昆虫に興味を持っていた。大学の卒業研究のテーマも「外来種が及ぼす影響について」らしい。まったくブレていないのである(笑)。以前、長男は私に

「半年で終わるような研究ではない……」と、呟いたことがある。卒業研究のテーマでありながら、長男にとってはライフワークなのだ。だから、大学卒業後は就職せず、大学院へ進学することを選んだ。とはいえ、試験に受からなければ話にならない。

大学院の入学試験は、年3回。1回目は今月の初めにあった。筆記テストは惨憺たるものだったらしい。残り2回の試験に挑むしかないと家族の誰もが思っていた。が、先日、大学から書類が届いた。なんと、合格していたのである!

長男は1年生の頃から、大学で昆虫を研究している教授に可愛がられていた。研究室にもよく顔を出していたようで、3年生になると、その教授のゼミにも参加した。大学院の入学試験の面接では、たまたまその教授が面接官だったらしい。

私が思うに、大学院に合格したのは、教授の後押しがあったからだと思う。なぜなら、筆記試験や成績はイマイチながら(笑)、どの学生よりもフィールドワークをしていることを知っているからだ。まぁ、結果よければすべてヨシなのだが。

私が何よりも嬉しく思うのは、大学院へ進むのは、就職に有利だからとか大学院卒だと給料がよくなるからという理由ではなく、「もっと学びたい」という純粋な気持ちが出発点になっていることだ。どうか、自分の力を限定せず、オノレの人生を雄々しく切り拓いていってもらいたいと願うばかりである。