永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

取材拒否の店。

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私のFacebookの友達には、これまで取材した店のご主人や女将さん、料理長など飲食に携わる方が数多く占めている。

彼らからすれば、私は一介のライター、カメラマンにすぎないかもしれない。が、私は勝手に友達だと思っている。

取材が終わって、ネットで記事が公開されたり、雑誌が発売されてからも親交を深めたいと思うから、Facebookで友達申請をさせていただいているというわけだ。そして、機会があれば、また取材させていただく。友達だから応援したい。それが私の偽らざる気持ちである。

私と飲食店の人々の縁は、取材のアポを取るところからはじまる。取材拒否の店とは知らずに電話することもある。しかし、実際に店に足を運び、料理を食べたことを伝えると、一転、取材を受けてくださることも多々あった。

もちろん、それでも断られるケースもある。それはそれで縁がなかったと諦めるが、中には耳を疑ってしまうこともある。

名古屋ではかなり有名な某店に取材を申し込んだときのこと。その店は数多くのメディアに露出しているので、私は断られるとは思わなかった。しかし、スゴイ理由で取材NGとなった。

多くの店を食べ歩いた中で本当に美味しいと思ったこと。そして、是非、誌面で紹介したいという旨をオーナーに伝えたところ、

「どれくらいの大きさで載るの?」と聞かれた。私は現場のライターであり、掲載スペースを決めるのは編集者である、と話した。その上で、今回の見開き(2ページ)の特集で、いつもはだいたい1/2ページくらいであることを伝えた。ちなみに1/2ページというサイズは、その特集でいちばん大きな扱いである。すると、

「そんな小さい扱いだったら、ウチはいいや」と、オーナー。

長いことこの仕事をしているが、こんな理由で断られたのは初めてである。その店はたしかに旨いのだが、思い上がりも甚だしい。すっかり興味がなくなり、取材する気も失せた。声からして私よりも年下と思ったので、つい、言ってしまった。

「余計なお世話かもしれませんが、掲載スペース如何で取材を受けるとか受けないとかを決めるのはいかがなものかと思いますよ。実際、私はもう取材する気も失せましたし、客としても店に行きたいとは思わないですもん」と。案の定、オーナーはキレた。まぁ、キレさせるために言ったんだけど。

断っておくが、私は「取材してやる」という気持ちは微塵もない。「取材させていただく」というスタンスが基本だと思っている。

それは、美味しいものを食べさせてくれた人への敬意の表れであり、忙しい中、取材のために時間を割いてくださっているからでもある。それを理解できない方は、こちらから願い下げである。