永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

アルバイト。

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私がまだ駆け出しだった頃、

「当たり前のことを当たり前にしていれば、食っていくことはできるよ」と、当時の編集担当から言われたことがある。

当たり前のこととは何かと訊ねると、

「〆切を守るとか、取材のアポイントの時間を守るとか、ですよ」とのこと。

いや、〆切を守らないライターがいるのか!?と、そのときはかなり驚いたことを覚えているが、これが本当にいるらしいのだ。

ライターやカメラマンは資格も何もいらない。ライターと名乗った日から、カメラマンと肩書きが入った名刺を作ったその日から仕事ができるのである。オファーが来るかどうかは別だが。

それゆえに、東大大学院から中卒、はては前科者まで、さまざまなラインナップが揃っている。裾野が広いから、当たり前のことを当たり前にしていれば食っていくことができるというわけだ。

昨日、ラーメン店やテイクアウトの唐揚げ店などを手がける社長から、最近のアルバイトについて興味深い話を聞いた。

高校生にしても、大学生にしても、ガッツリ稼ぎたい!と長時間の労働を望むアルバイトはほとんどいないそうで、まさに時間の切り売りというタイプが多いというのだ。

私の息子もそうだが、とくに欲しいモノはなく、彼女や友達と一緒に遊びに行ったり、食事に行ったりしたときのお金が欲しいくらいでガツガツしていないのだ。

「そんな中、早稲田大学卒の38歳が履歴書を送ってきたんですよ。そんな優秀な人が何でウチみたいなところに!?と思ったんですけどね……」と、社長。

この話には見事なオチがあった。

「ところが、面接に来なかったんです。何の連絡もなしに。電話をしたら繋がったんですけど、すぐに切られました。その後、2回電話しましたけど、出ることはありませんでした」

有名大学を卒業していても、38歳で定職に就いていないのは、人として致命的な欠陥があったからとしか思えない。

「ほとんどのアルバイトは、飲食の仕事に興味があるからとかそういう理由でやっているわけではないんです。ただ、言われたことをやるだけ。だから、『他に何かありますか?』なんて言われたら、めちゃくちゃ嬉しくなりますよ」

これは、逆に言えばチャンスではないのか。学生の方で成り上がりたい、成功したいと思う人がいたら、今は誰もやりたがらない飲食店のアルバイトがオススメだ。マジで。