永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

愚直。

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愚直、というコトバが好きだ。私の周りには愚直を絵に描いたような人が多い。昨日、『東洋経済オンライン』で紹介させていただいた名古屋市中川区戸田にあるラーメン店『富田屋』の店主、“やっさん”こと石黒靖浩さんもその一人だ。

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記事にもあるように、『富田屋』は創業100年以上の老舗みりん屋『糀富』がはじめた。みりんは昔ながらの製法を頑なに護っている。とろみがあり、舐めてみると素朴な甘さが広がる。みりん風調味料とはひと味もふた味も違う。

こんなレベルの高い商品が百貨店にもスーパーにも置いていない。小ロットの生産となるため、問屋に卸していないのである。取引しているのは、昔ながらの酒屋や雑貨屋など。それも、やっさん自らが店を訪ねて取引がはじまったところも多い。

「昔ながらの御用聞きですよ」と、やっさんは言うが、彼のTwitterを見ると、配達や営業で静岡や岐阜など遠方まで足を運んでいる。そのアクティブさは、カメラマン・ライターとして各地を飛び回っている私から見てもスゴイと思う。

みりんの仕込みやラーメン作りも愚直なら、営業も愚直。生き方そのものが愚直なのだろう。だからこそ、すばらしい仲間もいる。それも、リアルな付き合いではなく、Twitterのフォロワー。経営危機を知った彼らがみりんを買い、ラーメンを食べに行くことでリアルな友人となり、そのおかげで経営危機を乗り越えることができたのである。

正直、やっさんの話を聞くまで、私はTwitterに対して、あまり良いイメージを持っていなかった。いつも言い争っていたり、炎上したりしているので、軽いノリでツイートしにくいと勝手に思っていたのだ。原稿を読んだ編集担当からは、

「Twitterは一生懸命頑張っている人には温かい場所ですよね」とのコメントを頂戴した。Twitterは、デマや悪評もあっという間に拡散するが、その反面で善いことも瞬く間に拡散するということを学んだ。

私も愚直なまでに写真や文章のクオリティを追求したい。今までサボりにサボってきたから今さら感は拭えないかもしれない。でも、今やらなければ、本当にくそったれの人生で終わってしまう。残り少ないカメラマン人生、ライター人生をとことん愚直に生きるのだ。