永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

ラーメン繁盛店と幸福な家庭生活。

f:id:nagoya-meshi:20200325013538j:image

先日、「ラーメンプロデューサー」なる肩書きを持って、日本国内のみならず、世界を股にかけて活躍されている方を取材した。どのような店が潰れるのか。または繁盛店になるのかを訊ねたところ、彼からとても興味深い話を聞いた。

「ラーメン店の仕事というのは、単純作業の連続なんです。ただ、毎日それを繰り返しているだけでは潰れますね。その単純作業の中にいかにクリエイティブな要素を見出していくか。そこから新たなメニューやサービスが生まれたりして、店の寿命が延びていくわけです」と。

この話、ひょっとすると夫婦にも同様のことが言えるのではないか。夫婦という関係にスリリングなことやハプニングは要らない。言い換えれば、家庭生活もまた、単純作業の繰り返しであると言えるだろう。

潰れるラーメン店のように、日々の家庭生活を「こなす」というスタンスになると、かつてあれほど愛し合っていたはずの2人が互いに興味を失ってしまう。会話も事務的になったり、態度もよそよそしくなる。もはや、一緒に居るのが苦痛になり、外に幸せを求める。こうして家庭生活は破綻する。

やはり、2人で何を創り上げるかというクリエイティブな要素が重要なカギを握る。難しそうに聞こえるかもしれないが、何でもよいのだ。1日1回は必ず「ありがとう」と感謝の気持ちを表すのもよいし、たまにハグをするのもよいと思う。

一方、恋人同士の場合は、単純作業の連続ではどこか物足りなさを感じるだろう。恋というのは先を急ぐもの。いわば、創作活動の繰り返し。当然、意見が違ってぶつかったりする。関係が修復できれば絆がまた深くなる。

仮に夫婦で創作活動をし続けていたら……。そんなの、疲れるわ。たしかに私はモノを作る仕事をしているが、家庭生活において毎日毎日女房からクリエイティブな要素を求められたらブチキレるわ!それもまた家庭生活の破綻につながるだろう。

家庭生活においてのクリエイティブな要素はほんのちょっぴりでよい。むしろ、家庭生活は退屈なくらいがちょうどよい。退屈さを楽しめるようになれたら、きっと人生の達人になれる。

って、モテないくせにまるで恋愛・結婚の教祖のように偉そうなことを言っている私に「お前んとこはどうなんだ!?」というツッコミは禁止の方向で(笑)。ふと、思ったことを書いただけだから。