永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

ていねいさ。

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私のお気に入りのラーメン店、愛知県春日井市にある『龍龍』のオーナー、大倉裕史さんから年内で閉店するという連絡があった。そんな話を聞いたら、食べたくなってしまう。

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ってことで、行ってきた。『龍龍』との出会いも取材がご縁。↓Web版の『おとなの週末』で紹介させていただいた。

otonano-shumatsu.com

記事にもあるように、大倉さんは高校時代にアルバイトしていたラーメン店に社会人となってからも通っていた。ところが、諸々の事情で閉店してしまう。大倉さんはどうしてもあのとき食べたラーメンの味が忘れられず、夢にまで出てきたという。閉店から10年がたった頃、大倉さんから元オーナーに

「もう一度、一緒にラーメン屋をやりましょう!」と、思いを伝えて店を復活させたのだった。

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今回、私が注文したのは、大倉さんの夢にまで出てきた「胡麻めん」。ここに来ると、いつも思うことがある。それは、調理のていねいさ。

例えば、チャーシュー。バラ肉かロースを選択できるだけでも嬉しいのに、提供する直前に塊から切り出し、蒸籠に入れて麺を茹でる際に出る蒸気を利用して温めている。切ったものをそのままのせても大丈夫だと思うし、実際にそんな店はいくらでもある。しかし、スープが冷めてしまう。それを懸念してのことだと思う。

また、ネギやメンマの切り方も独特。とくにネギ。薬味としてのネギではなく、具材として存在感を発揮しているのである。そんな作り手の細かい配慮がひしひしと伝わってくる。なかなか、こんなラーメンに出会うことはない。これが年内で食べられなくなるのはやはり惜しい。

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サイドメニューに選んだのは、「半天津飯」。「半炒飯」にしようかとかなり迷ったが、この日は僅差で天津飯が勝利した(笑)。ここの天津飯は、とにかくもう、ハンパなく旨いのである。天津飯専門店にして、天津飯だけでも勝負できるほどのレベル。

ここの天津飯は、餡が白っぽいというか、透明なのが特徴。私の中で透明の餡は、ホテルの中にある中華レストランのイメージ。この方が見栄えも良いし、味もさっぱりしているので、ラーメンとのマッチングが最高。何よりも、卵の火の入れ加減や餡の繊細な味付けなど、ラーメンと同様にていねいさが際立っている。

ていねいさ。それは料理に限ったものではない。私の仕事、写真も、文章も雑に行うと、それが顕著に出てしまう。とくに取材の時間が限られていたり、〆切が近かったりすると、どうしても焦ってしまい、雑になりがち。ヤッツケ仕事はフリーにとって自分の首を絞めることになるのだ。忙しいときこそ冷静になって、1つ1つをていねいに行うことを心がけている。

この日、12時ジャストに入店したのだが、瞬く間に満員となった。ここまで流行っているのに閉店するのは残念すぎる。大倉さんが元オーナーから店を継いだように、誰か継承してくれないかなぁ。

大倉さーん、ご馳走様でした♪ また食べに行きますね!