永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

お取り寄せ。

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名古屋市昭和区にあるうなぎの名店『うな富士』。先日、お取り寄せがはじまったことをWeb版『おとなの週末』で紹介させていただいた。

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『うな富士』には何度も食べに行っているし、取材にも行っている。テイクアウトも行っているようだが、出来たてを店内で食べるよりも味が落ちるのは間違いない。皆、それを承知の上で注文していることも理解している。

では、お取り寄せはどうか。いくら店と同じうなぎ、同じたれを使って職人が焼き上げていても、やはり、これも店で食べるのと比べると満足度は変わってくるのではないか。それを確かめるべく、自宅で作ってみた。

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使用したのは、『うな富士』の看板メニューともいうべき「肝入り上うなぎ丼」。1人前でうなぎの蒲焼きが六切。しかも、大サイズの鰻を使用している。わが家は4人家族なので、1人につき半分の三切にした。それでもボリュームは十分。では、同封してあった「炭焼 うな富士 美味しいお召し上がり方」に基づいて作っていこう。

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うなぎは真空パックにされていて、さらに冷凍されている。おそらく、冷凍した方が日持ちするからだろう。

まずは、冷凍のうなぎを真空パックのまま湯せんで4分間温める。

4分が経って、鍋から取り出したうなぎをパック越しに触ってみると、とてもやわらかい。肉厚なのに、フワフワなのは、まさしく『うな富士』のうなぎだ。

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次に、同封されているクッキングシートをフライパンに敷いて、火がフライパンにギリギリ当たるくらいの弱火で温める。フライパンが温まったところで、鰻の皮目を下にして3分間焼く。

すると、クッキングシートと皮目の間から水分が抜けていく。この工程はうなぎをよりパリッとさせるためのものなのだ。

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皮目が焼けたら、次は身を裏返して2分間焼く。菜箸で一枚一枚ひっくり返したのだが、箸からもやわらかさが伝わってくる。スーパーで売っているうなぎとはまったく違う。同じうなぎなのに、ここまで違うともはや別物だ。火を消して、タレをかけて絡めたら温めは完了。

次は盛り付けになるが、うなぎ六切を1人前として使用する場合、ご飯を1/3ほど盛ったところでうなぎを一切入れて、その上からご飯を盛ると「中詰め(間蒸し)」も楽しめる。前に書いた通り、今回は三切で1人前としたので、この工程は割愛した。

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焼き上がったうなぎと真空パックのまま湯せんで4分間温めた「肝焼き」をのせたら、「ミニ肝いりうなぎ丼」の完成。お吸い物と漬物も添えてみた。

あ、トップに使用した写真とこの写真は、先日関西大学のリモート講義で使った「リングライト」を当てて撮影した。ちょっと光がフラットにまわりすぎているが、そこそこキレイに撮れたと思う。

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さて、肝心なのは、味だ。世帯主の特権としてあえていちばん肉厚のうなぎを選んだ(笑)。まず、うなぎをひと口……。わっ、身も皮もむちゃくちゃやわらかい!

皮はもう少しパリッとしていた方がよかったが、おそらくこれは火加減の問題だろう。焦げるのを恐れるあまり、弱火にしすぎたのだ。

特筆すべきはフワフワの身を噛むごとに広がる炭の香り。って、書いてもわかるかなぁ。これは絶対に店でしか味わえない。これが自宅で楽しめるのは、ヒジョーに満足度が高い。

そもそも、うなぎもたれも店と同じであれば、不味いわけがない。厳密に言えば、ごはんも違うし、いちいち丼も温めていない。そりゃ店と食べるのとは違う。でも、正直、お取り寄せのうなぎでここまで感動したことはない。

『うな富士』のお取り寄せは、創業者である水野尚樹さんと社長の岡田憲征さんのこだわりが詰まっていると実感した。水野さん、岡田さん、ご馳走様でした。