永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

重鎮。

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朝イチで名古屋料理界の重鎮の店へ取材に行ってきた。

「もう、オレは年寄りだからいいよ。若い人の店へ行ってくれよ」と仰るのを何とか説き伏せて取材のアポをとった。ここは以前にたった一度だけ行ったことがあり、私のことも覚えていてくださった。ただし、「名古屋めしの子」として(笑)。

重鎮は店を開いて30年超。10年でもスゴイのに、30年というのは奇跡に近い。しかも、今もなお名古屋料理界のトップの座に君臨しているのである。

前回取材へ行ったときも感じたのだが、独特のオーラを纏っている。いや、『北斗の拳』のラオウのような“闘気”と言った方がしっくりくるかもしれない。ピリッとした緊張感を覚えながら、取材がスタートした。

2、3年前から従業員を入れずに、マダムと2人で店を切り盛りしている。

「20人とか予約が入っちゃうと、つい、『忙しいのに受けるな!』ってカミさんに言っちゃう。でも、『本当に受けなくてもいいの?』って(笑)」と、重鎮。なんか、昔の料理人っぽくていい(笑)。驚いたのは、重鎮が放ったこの一言。

「魚とかを切ってるとさ、あー、こうすればもっとうまくできるんだぁって気がつくことがある。それが楽しいんだよね。30年もやってこれたのは、やっぱり料理を作ることが好きだからだよ。食べた人が『美味しい!』って言ってくれるのが嬉しいからだよ」

御年61歳にして、貪欲に料理と向かい合っているのである。しかも料理について語る重鎮は、子供のように目を輝かせている。本当にスゴイ!めちゃくちゃ感動した。重鎮からすれば、51歳の私なんざぁチ○コの毛が生えそろったガキ。まだまだ頑張らねば。


※写真は、取材終了後に食べた『キッチン はせ家』の「鉄板ミート」。同行した東京の編集者は、「イタリア人が怒るやつ」と、呟いた(笑)。