永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

好きなことがあるという幸福。

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虫が嫌いな方には申し訳ない。これらの写真は、長男が撮影したものである。聞いてみると、きちんと照明(LEDライト)をあてて、カメラを三脚に固定して撮影したという。親バカで恐縮だが、上手く撮れていると思った。私は長男に写真の撮り方を教えたことはほとんどない。でも、ここまできれいに撮れたのはなぜか。

まずは、長男が虫好きであること。それに尽きると思う。好きだからこそ、上手く撮りたいと思うし、失敗したらその原因を追及する。好きだから、その作業も全然苦にならない。それどころか、失敗から知恵や工夫が生まれるのだ。

前にもこのブログに書いたかもしれない。長男は、保育園の頃から高校を卒業する頃まで、ほぼ毎日、昆虫図鑑を見ていた。大学へ入学してからは、図鑑を卒業して学術書を読むようになった。さらには昆虫好きが集まるウェブサイトも見ていると思う。

写真が上手くなりたいなら、人の撮った写真のマネをする。これは基本中の基本である。長男は図鑑や学術書、ウェブサイトの写真を食い入るように見つめていたから、昆虫がいちばんカッコよく写る構図やアングルが知らないうちに身についていたのだと思う。

それにしても、好きなことがあるというのは何ものにも勝る。長男が中学生になる頃、瀬戸市で開催されていた昆虫標本の展示会へ連れて行ったことがある。たまたま主催者の方が会場にいて、長男といろいろ話していた。

「昆虫が好きなのは、だいたい小学生くらいまでなんだけどね。中学生になっても好きだということは、おじさんたちのように自然を愛する人になるよ」と、言われた。あれからずいぶんと経つが、その通りになった。

長男は虫を捕りに山へ行くと、そこに落ちているゴミを拾って帰ってくる。私と一緒に虫捕りに出かけたときもゴミを拾っているところを見た。私なら「こんなところにゴミを捨てやがって!ゴルァ!」と、ブチキレながら拾うと思う。

しかし、長男は黙って拾ったゴミを持参した袋に入れていた。本当に、やさしい人に育った。山などでのゴミ拾いもまた長男の“昆虫愛”が出発点なのだ。

長男よ、たとえ今日、世界が終わろうとも、虫を追いかけていてほしい。その傍らで父は写真を撮り、文章を書く。