永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

チャーラーの旅。31

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前回が昨年12月だったから……実に7ヶ月ぶりのチャーラーの旅。

23歳から25歳の半ばでフリーになるまで働いていた編集プロダクションは名古屋駅の駅ウラ……あっ、今は駅ウラとは言わないか。新幹線の改札がある太閤通口ね。そこから歩いて5、6分の場所にあった。

ビックカメラの周辺にある繁華街から少し離れていて、そこで暮らす人々もいた。編プロが借りている駐車場のそばには日雇労働者組合の事務所もあったりして、その前を通るとやたらションベン臭かった。夏場は近くの公園で組合主催のお祭りもやっていたっけな。

編プロへ入社する前に働いていた広告制作会社は、栄・錦3丁目にあったので、そのギャップにも戸惑った。当時の駅ウラ界隈は場末感がハンパなかったからね。

編プロ時代は10時出勤で、昼休みが13時からだった。昼食は近くの喫茶店や洋食店などで摂ることもあったが、外出することで集中力が途切れてしまうため、大半は出前で済ませていた。

お昼時になると、「出前、頼もうか」と社長が言い出して、誰かが皆の注文を聞いて電話をする。丼物や麺類もあったが、編プロと同じマンションの1階にある中華料理屋からとることが多かった。支払いは社長。かれこれ、100回以上はオゴってもらったと思う。今思えばありがたいことだ。

その中華料理屋は中国人が経営していた。金ピカのブレスレッドや時計をジャラジャラと身につけている小柄な老人がオーナーで、よくマンションで顔を合わせた。高齢のためか、いつも杖をついて歩いていた。

「実は杖に見えるけど、実は仕込み刀なんだぜ、あれ」とか、「実は拳法の達人で、いざというときには俊敏に動く」とか私たちはよくネタにしていた。それだけオーナーは異彩を放っていたのだ。実に懐かしい。

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で、昨日はその中華料理店の近くへ行ったので、四半世紀ぶりに訪ねてみた。それが『中国料理 華明閣(かめいかく)』である。外観は四半世紀経った今でもまーったく変わっていない。

店内も当時のまま。厨房では料理人が忙しそうに中華鍋を振っている。お昼のピークだったので、相席になった。で、注文したのは、チャーハンと醤油ラーメンのセット、いわゆる「チャーラー」だ。値段は720円。

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まず、チャーハンが運ばれてきた。25年も前なので、ビジュアルはよく覚えていない。でも、しょっちゅう食べていたから味は覚えているはずだ。ってことで、ひと口。

あれ?こんな味だったっけ?もっとしっとりとした食感だったような。っていうか、これは明らかに炒めすぎだ。パラパラを通り越してバサバサになってるもん。ちょっと、これは残念だったな。

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チャーハンが運ばれてから1分以内に醤油ラーメンが着丼。そうそう、スープはこんな感じだった。あと、チャーシューも。まずは麺を食べてみる。これこれ!醤油辛くなくて、鶏ガラのだしがしっかりときいた、この味!めっちゃ懐かしい。

ラーメン専門店ではコショウを使うことは滅多にない。それはコショウが要らないような味に仕上げてあるからだ。まぁ、例外もあるけど。でも、中華屋でラーメンを食べる場合は遠慮なく使う。コショウをドバーッとかけて食べるのが流儀と思っているくらい(笑)。ここのラーメンも例外ではなかった。

編プロ時代はここの「中華カツ丼」もよく食べたなぁ。明らかに揚げすぎの、焦げ目がついた薄ーいカツの上にキクラゲやモヤシ、ニンジンなどが入った餡がかかていたと思う。あれがもう一度食べてみたい。