仕事は紹介してもらうもの───。私が暮らす名古屋の出版業界では、そういう傾向があるように思えた。「海のものとも山のものともわからない人と仕事をするよりも、信頼できる人から紹介された方が安心して仕事ができる」というのが理由らしい。
と、いうことは、編集者に紹介してもらうには、信頼できるライターなり、カメラマンなりと信頼関係を築かねばならない。クソ面倒くせぇ。だから、フリーになったとき、地元メディアで仕事はできないと思った。
それよりは、何度もプランを出して、一緒に仕事をする中で築き上げた人間関係の方がより強固なものになる。何よりも、プランがすべてなので、ライターの生命線ともいうべき企画力が身につく。イイことずくめなのである。
もちろん、信頼できる誰かに紹介されたのをきっかけに人間関係を深めることだってできる。そいつがある程度仕事ができて「イイヤツ」であれば。しかし、いよいよ雑誌が売れなくなり、テコ入れしなければならない状態になったとき、私が編集者ならば「イイヤツ」よりは、性格がどんなに歪んでいても、「仕事のできるヤツ」を選ぶ。背に腹は代えられないのだ。
うまり、フリーとして長生きしたければ、「イイヤツ」とかそんな世間並みのレベルではなく、編集者にとって「必要なヤツ」になることだ。それに尽きる。
早いもので、来月25日にはフリー生活25周年を迎える。今、振り返ってみて、これまで一緒に仕事をした編集担当は本当に私にとってはかけがえのない存在である。海のものとも山のものともわからない私をよくぞ拾ってくれたと、いくら感謝しても足らないほどだ。
でも、まだまだ現状に満足しているわけではない。あと5年くらいかけて、「必要なヤツ」からさらに一歩進んで、「一緒に仕事をしてみたいヤツ」になりたい。それが東京のメディア関係者に「ナゴヤにナガヤあり」と言わしめることなんだろうと思う。だからこそ、目の前にある仕事を一つ一つ丁寧に取り組むのだ。
「一緒に仕事をしてみたいヤツ」をめざすってことは、業種が違っても、フリーでも、会社員でも、仕事をしている人にとって理想の姿ではなかろうか。そんな人が沢山いれば、世の中はますます面白くなる。そう思わないか?
※写真は、愛知県一宮市にある『チャーハン専門店 金龍』の店主、清水良太さんの後ろ姿。ここのチャーハン、絶品です。詳しくは↓コチラの記事をご覧ください。