「なごやめし」という言葉は東京からの逆輸入?
「なごやめし」、と聞いて何を思い浮かべるだろうか?味噌かつ?それとも、手羽先?はたまた、ひつまぶし?それは人によって異なると思う。
では、「なごやめし」とは何だろうか?この問いに対して、明確に答えられる人に私は会ったことがない。っていうか、私も返答に困ってしまう。
「なごやめし」という言葉が生まれたのは、'01年。当時、名古屋を拠点にダイニングバーなどを展開する『ZETTON(ゼットン)』が東京・恵比寿へ進出したときのこと。名古屋名物の「ひつまぶし」や「味噌串かつ」を独自にアレンジしたオリジナルメニューを出した。それらの料理は、東京の人々にとって斬新に映ったようで、店は人気を博した。メディアからも注目を集め、多くのマスコミが取材に訪れた。
ある記者がこれまで見たことのない料理の数々をひと言で表すフレーズを稲本健一社長に求めた。それが「なごやめし」だった。ちょうどイタリア料理のことを「イタメシ」と呼んでいたのと同じ感覚で名付けたのだった。『ZETTON』が注目を集めるとともに「なごやめし」は、まず東京でブームとなった。
メディアが本場の「なごやめし」を知りたくなるのは必然的な流れだった。当時、私も多くの雑誌で地元の有名店を取材した。こうして名古屋に逆輸入されるカタチで「なごやめし」ブームが起こったのである。(つづく)