永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

おっさんたちの夢が詰まったお子様ランチ。『めりけん堂 小牧店』の「めりけん堂セット」

人間というのは欲張りなもので、正月も3日を過ぎた頃には、年末にあれだけ楽しみにしていたおせち料理やお餅が飽きてくる。「おせちもいいけどカレーもね♡」とは、本当に人間の心理を的確に突いた秀逸なキャッチコピーだと思う。

たしかに和食が続いた後はカレーもいいだろう。しかし、私は今、無性にあんかけスパが食いたいのである。2.2mmの極太麺をたっぷりのラードで炒めることで生まれる、表面はやや固めで、中身はやわらかい“逆アルデンテ”の麺。レギュラーサイズではモノ足りないし、1.5だと多すぎる。となると、1.2か…。そして、麺によく絡むトマトの酸味と肉の旨み、スパイスの刺激、それぞれのバランスがとれたソース。具材はガツンとフライ物かボリューム満点のピカタか?あ、赤ウインナーはハズせない…。そんな妄想が私の頭の中を支配している。

あんかけスパの好きな人は、『ヨコイ』派や『そーれ』派、『からめ亭』派、『チャオ』派などなど、それぞれのお気に入りの店の派閥に分かれる。『ヨコイ』派の人にとっては『ヨコイ』のあんかけスパが絶対的な存在であり、滅多なことでは他店に浮気はしない。しかも、お気に入りの店を訪れたときには、つい、他店をdisったりする(笑)。そこまで愛が深いのである。

あんかけスパを食べ慣れていない愛知県外の方からすれば、「味なんてどの店でも同じじゃん」と思うだろう。一つだけ忠告しておくと、あんかけスパ好きの人の前でそれは絶対に言ってはいけない(笑)。私なら「違うわぁぁぁ!」と、涙目になってブチキレるだろう(笑)。

えっ?私はどこ派かって!?フードライターという仕事柄、あんかけスパだけでもいろんな店へ取材に行くし、それぞれの店のオーナーと長年にわたって築き上げてきた関係もある。したがって、ここは「ノーコメント」とさせていただく、なんて言っても納得はしないだろう(笑)。その代わり、今、現時点でどーしても食べたいあんかけスパとその店を紹介するのでカンベンしてほしい。

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小牧市にある『めりけん堂 小牧店』の「めりけん堂セット」である。おそらく、メジャーな店が乱立する名古屋市内に住む方にとって、ここはまったくの無名ではないだろうか。春日井に本店があり、何年か前は豊山町にもあった。自宅から近いこともあって、たまに食べに行っていたのだ。いつものように無性に食べたくなって、車を走らせると、中華料理店になっていた。ガックリと肩を落として帰ったことを今でも憶えている。その後、小牧店があることを知り、食べたくなったらここへ行っている。

かつてあんかけスパがマイナーだった頃の専門店のように、店内はおっさん占有率が異常に高い。男女比は8:2くらいだろうか。皆、大皿にテンコ盛りのあんかけスパをワシワシと胃袋におさめている。あんかけスパこそが自分も含めたおっさんたちの原動力であり、名古屋経済を、いや、世界経済を支えているのだ!

ふと、隣に座ったおっさんがあんかけスパとともにエビフライや白身魚フライ、サラダ、ライスが1プレートになっているメニューを食べていた。なっ、何なんだ?これは!?まるでおっさんたちの夢が詰まったお子様ランチぢゃないか!ってことで注文したのがきっかけで、私のお気に入りのメニューとなった。腹ペコのときはほぼ100%このメニューを注文する。

ここだけの話、私はあんかけスパを食べるたびに罪悪感を感じている。それは、決して身体に良いとはいえない栄養バランスにある。まぁ、それもあんかけスパの魅力の一つだが。この「めりけん堂セット」はその最たるモノで、あんかけスパとライス、そして揚げ物と、炭水化物ワールドが炸裂している。しかし、キャベツのサラダを添えることで少しだけ罪悪感を和らげてくれるのだ(笑)。

昨年12月16日付のブログ、「名古屋ちゃんぽん」と呼びたい!『長命うどん』のミックス麺でも書いた通り、私は几帳面な性格である。それゆえに、あんかけスパのソースや揚げ物のタルタルソース、サラダのドレッシングがそれぞれ混ざり合わないように、万全を期して食していても、最後の方はどうしてもミックスされてしまう。しかし、それもまた洋食店のハンバーグに添えられて、デミグラスソースが少しだけかかってしまったポテサラのように美味しい。

このブログを書いているうちにますます食べたくなってきた。仕事始めのランチはここに決まり、だな。