永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

あんこ入りコーヒーは、当たり前じゃねぇからな!

名古屋人は大のあんこ好き。というのは、小倉トーストの記事でも触れた。「大のあんこ好き」を強調するために、わざわざ「コーヒーにあんこを入れるほど」という一文を付けくわえた文章を見かけたことがある。たしかに名古屋にはあんこが入ったコーヒーはあるにはある。しかし、地元ではウインナーコーヒーよりも需要が低いのではないかと思う。私も取材以外でほとんど飲んだことがない。極楽とんぼ加藤浩次さんの言葉を借りると、「当たり前じゃねぇからな!」ってことになる。

先日、友人と一緒に喫茶店チェーンの『元町珈琲』に行ったときのこと。何を注文しようかとメニューを開くと、「小倉珈琲」なる新メニューが目に飛び込んできた。写真も載っていて、ウインナーコーヒーのようにホイップクリームが盛られていた。いや、正確に言うと、ホイップクリームにこしあんベースのソース的なものもかかっていた。この日はラーメンを食べた直後だったこともあり、身体はアイスコーヒーを欲していたのだが、「小倉珈琲」が頭から離れない。結局、プライベートで初めてあんこ入りのコーヒーを注文することにした。

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目の前に「小倉珈琲」が運ばれた。スプーンでかき混ぜてクリームを溶かそうとするとコーヒーが溢れてしまう恐れがあるため、まずはクリームを直食い。当たり前だが、ムチャクチャ甘い。もう、この時点で何となく味の予想はできた(笑)。ふた口ほど食べた後、クリームを溶かしたコーヒーをグビリ。………。予想通り、コーヒー風味のおしるこだった。不等号で表すと、 おしるこ>コーヒー といったところか。コーヒーがおしるこにKO負けしているのである。疲れているときはアリかもしれないが、ラーメンのアフターで飲むには甘すぎる。余計に喉が渇いて水をガブ飲みしてしまった。

完全に私の偏見かもしれないが、あんこ入りのコーヒーの醍醐味とは、甘いあんこを入れてもコーヒーの香りや苦みがしっかりと残っているところにあるのではないのか。つまり、おしるこ風味のコーヒーであり、不等号で表すと、 おしるこ<コーヒー ということになる。少なくとも、今まで飲んだものはそうだった。

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かき氷が有名な池下の『甘味カフェ WARA家』。ここの「小豆コーヒー」は、小倉あんとホイップクリームが別皿で付いてくる。お店の方に「コーヒーに溶かしてお飲みください」と言われて飲んでみたところ、それほど甘くもなく、コーヒーの味や香りも十分に楽しめたのである。

店名にもある通り、ここはおしるこやぜんざい、わらび餅などの甘味メニューが豊富に揃っていて、それらと合わせるには必然的に深煎りで濃厚な味わいのコーヒーとなる。つまり、あんこと合わせるコーヒーが味の決め手なのである。

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東区東桜のスペシャリティーコーヒー専門店『加藤珈琲店』は、あんこ入りのコーヒー、「コーヒーぜんざい」を全国に知らしめた店。あんこのほか、白玉や栗などが盛られた器にポット入りのコーヒーを注いで作るのがここのスタイルだ。あんこの量がかなり多いので、ぜんざい寄りの味なのは否めないものの、コーヒーのほのかな香りがあんこの甘さを和らげてくれる。あんこの上から注ぐコーヒーは、パプアニューギニア産の豆をベースにブレンドした看板商品の「しゃちブレンド」。豊かで深みのある味わいが特徴で、甘~いあんこに決して負けないのだ。

あんこ入りコーヒーは、名古屋人が嫌いな味ではないことは認める。何度も言うが、日常的に飲んでいるわけではない。仮に「コーヒーにあんこを入れるほど」が当たり前ならば、コーヒーを注文すると付いてくる柿ピーのように、小皿に盛られたあんこが添えられるはずだ。まぁ、柿ピーとあんこではコスト的に差が出るかもしれないが。

あんこ入りコーヒーについて調べていたら、喫茶チェーンの最大手『コメダ珈琲店』にも昨年11月に「小豆小町」というあんこ入りコーヒーがメニューにくわえられたことを知った。『コメダ珈琲店』は名古屋の喫茶チェーンであることもウリにしているので、「小倉小町」の誕生は必然だったのだろう。