永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

カルボナーラの思い出と『支留比亜珈琲』のカルボトースト。

幼い頃、スパゲッティといえば、イタリアンとミートくらいしかなかった。いや、あったかもしれないが、食べたことがなかった。高校時代、世の中がバブル期を迎えた頃にスパゲッティではなく、パスタという言葉が使われるようになった。そして、カルボナーラペスカトーレという今ではどこにでもあるメニューを雑誌か何かで生まれて初めて見た。それらはとてもオシャレな響きに思えた。

そんななか、近所の喫茶店のメニューにカルボナーラがくわえられて、ドキドキしながら注文した。生クリームは入っておらず、卵がガチガチに固まっていた。玉ねぎやピーマン、マッシュルームも入っていて、食感はボソボソ。味はピラフかチャーハンのようだった(笑)。今思えば、とてもカルボナーラとは思えないシロモノだった。おそらく、マスターが見よう見まねで作ったのだろう(笑)。

「こんなもんか」というのが正直な感想だった。

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さて、写真は名古屋を中心とする喫茶チェーン『支留比亜(シルビア)珈琲』の「カルボトースト」。かつて私が食べた、“なんちゃってカルボナーラ”と同じニオイがする(笑)。ゆるめのホワイトソースがたっぷりとかかっていて、卵は使っているのかどうかわからない。シチュートーストかスープトーストと呼んだ方がしっくりとくる。

そもそも、本場イタリアでは、カルボナーラに生クリームを使わないらしい。生クリームは日本のオリジナルのようだ。だとすると、このカルボトーストと、高校時代に喫茶店で食べた“なんちゃってカルボナーラ”のどちらが、より本物に近いかというと、なんちゃってカルボナーラ>カルボトースト、ということになる。いやいや、それは全力で否定したい(笑)。

カン違いしてほしくないのだが、このカルボトーストをdisっているわけではない。むしろ、その反対だ。それがカルボナーラかどうかとか、名前がどうかというのは問題ではないのである。肝心なのは、旨いかどうかなのだ。さんざん煽っておいて申し訳ないが。

ホワイトソースがシミシミで、フレンチトーストのような食感。トーストはカリッと焼き上げていて、香ばしい香りが鼻から抜ける。これが文句なしに旨いのである。ボリュームもたっぷりなので、軽食としては重すぎるほど。ランチで食べても十分に満足できる。