永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

パンダになりたい。

f:id:nagoya-meshi:20190131232734j:plain

海千山千のカメラマン、ライターの世界において、誰からも尊敬を集めている先輩がいる。本当に彼のことを悪く言う人は誰一人いない。動物に例えると、誰からも愛されるパンダのような存在だ。私もそういう人になりたかった……。

私を動物に例えると……オオアリクイだな(笑)。アリクイ業界?では超メジャーだけど、アニマル業界ではほぼ無名(笑)。しかも、アリにメチャクチャ嫌われている(笑)。

なぜ、こんな話をするかというと、実は最近、ある仕事のオファーを断ったのである。と、いうか、企画内容が合わなかったのだ。

皆様も知っての通り、今は出版不況。雑誌が売れず、私のような地方在住のカメラマンやライターは仕事が激減した。ここ3年くらいで紙媒体とweb媒体の仕事量が逆転してしまったのである。そんな状況の中で紙媒体の仕事、それも地元では有名な雑誌の編集部からのオファーだった。

本来であれば喜ぶべきことだろうが、私はフリーになった26歳のときから、地元誌の仕事はやらないと決めていた。それは、料理や人物、建築、スポーツとジャンルを問わずに何でも撮ったり、書いたりせねばならないからだ。あ、これは私が勝手に思っていることなので、間違っているかもしれないが。

私はそんなに器用ではないし、将来を考えたときに何か専門分野があったら食いっぱぐれることはないと考えていた。実際、東京の出版社では、何でもできる者よりも、何かに秀でた者の方が重宝される。17年ほど前から食をテーマとしてきたおかげで、今まで何とかやってこれたと思っている。

まぁ、地元雑誌の仕事を受けないのは、ほかにもいろいろ理由はあるが、ここでは割愛させていただく。ただ、最近では、グルメ取材に限り、その他大勢の中の一人ではなく、自分にしかできないことであれば、媒体を問わず、やらせていただこうとは思っていた。

電話をくれた編集者は、つき合いのあるカメラマンやライターに私の連絡先をたずねたそうだが、誰一人知らなかったらしい。彼らと私はお互いにまったく接点がない、違うところで仕事をしているのだということも実感した。その編集者からは、

「今回は企画の内容が合わないということでしたが、今後機会がありましたら是非お願いします。ウチはほかにもいろんな雑誌の仕事をしてますので是非そちらの方でも」とのお言葉もいただいた。

私のことはブログやweb媒体の記事を見て知ったらしい。私のような木っ端ライターが書いた雑文に目を通していただき、お声までかけていただいたことは本当にありがたいことである。しかし、

「私にしかできないようなことであればお手伝いさせていただきます」と大変失礼なことを言ってしまったのである。その直後、自分がメチャクチャ生意気な奴に思えたので、

「すみません!何か、自分、今、めちゃくちゃ生意気なこと言ってますよね。本当にごめんなさい」と謝りまくった。

「いえいえ、とんでもない!」とおっしゃっていたが…。

「ドブライターの分際で思い上がってんじゃねーよ!」と思われただろうな、きっと。

嗚呼、誰からも愛されるパンダのような存在に私はなりたい。