永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

私の取材方法。1

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私が文章を書くようになったのは、23歳のとき。編集プロダクションに入社したのがきっかけだった。とはいえ、社長や先輩社員は皆多忙で、文章の書き方は誰からも教わらなかった。とにかく目前に迫る〆切に間に合うように、ヘタだろうが何だろうが書かざるを得なかったのである。今思うとヒドイ話である。

ただ、一つだけ社長に教わったことがある。それは、取材の方法。

「取材相手に興味を持って、ネホリハホリ話をしっかり聞けばいいんだ」と。あ、ここで言う取材は、直撃取材ではなくて、相手に承諾を得た上での取材ね。社長は、

「相手が取材を受けることを承諾してるんだから、何を聞いも構わないんだ。逆に聞いてほしくたまらないんだよ」とも。

ライターをめざしている人がいたら、私も同じことを言うと思う。ライターの仕事を始めて27年になるが、この社長のアドバイスは正しいと断言できる。ただ、私は不器用なので、文字数に関係なく、たとえ短い文章であっても、ネホリハホリと聞いてしまう。しかも、撮影もするから時間がかかって仕方がない。もっとスピーディーに、スマートに取材できればと思うものの、どうしてもできないのだ。

私の場合、料理人を取材することが多い。目の前に運ばれた料理は、それを作った料理人がこれまで歩んできた人生の結果。そう考えると、興味が湧きまくる。聞きたいことが山ほど出てくる。さらには私自身の人生もオーバーラップさせてしまう。もう、そうなると取材なのか世間話なのかわからなくなってくる。

ほかのライターがどんな方法で取材をしているかわからない。私の中ではこのやり方が正しいと思っているし、かれこれ四半世紀以上もこのやり方をしているので今さら変えられない。ただ、メリットもある。ときには深い話になるので、仕事上のつき合いから友達へ変わることだってあるのだ。って、私が勝手に友達と思っているだけかもしれないが(笑)。それでもいいのだ。

本題に入る前の、前置きのつもりで書きはじめたら、ずいぶんと長くなってしまった(笑)。本題についてはまた後日。