永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

恋バナ。4(完結編)

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↑写真は昨年11月に食べた大将の寿司。その場に居合わせた人たちは皆、「旨い!」と言いながら寿司を頬張った。私は誇らしい気持ちと寂しい気持ちが入り混じっていた。だって、この日を最後にもう大将の寿司は食べられないんだから。

辛かった恋を忘れるには、新たな恋をする。それが定説だ。たまたま仕事で訪れた寿司屋に私は通うようになった。その店も本当に美味しく、多くの人に勧めた。私と女房の銀婚式のお祝いにも利用させていただいた。ようやく大将の寿司の記憶も薄れていった。

ところが、今年4月。取材現場へ向かう途中に携帯電話が鳴った。ディスプレイを見ると、大将の名前が表示されていた。いったい、何だろう……。

「60歳になって、もうひと花咲かせたいと思ってるんです。もう一度寿司職人として仕事ができたらと思って、今、店の物件を探してるんです」と、大将。

聞いてみると、今回は「雇われ」の寿司職人ではなく、自らがオーナーとして店を開くという。しかし、私にできることは、SNSで発信するための写真を撮ることと、食べに行ったときにSNSで拡散すること。あと、客の目線で相談にのることくらい。

大将から電話をいただいてから、店のオープンが楽しみで仕方なくなった。何しろ、あの寿司がまた食べられるのだ。おせっかいかもしれないと思いながらも、ときどき大将に電話をしては進捗状況を聞いた。

ところが、予算の関係でビルの3階とか4階、それも元スナックの物件しか借りられないという。しかも、店内を改装する予算もない、と。「それは絶対にダメだ!」と、私は猛反対した。いくら寿司が旨くても、店内がスナックそのままだったら台無しになってしまう。女房や大切な友人を連れて行くことも抵抗がある。しかし、ない袖を振ることはできない。大将はどう決断するのだろう……。とても気になった。

そして先月の終わり頃に大将から連絡があった。どんな経緯があったのかわからないが、女将さんの息子さんがやっていた錦の店を大将がそのまま継ぐことになったのだ。もちろん、「雇われ」ではなく、オーナーとして。これなら家賃を払うだけで済むし、ベストな選択だったと思う。

そして、今日6月25日(火)から30日(日)までプレオープン、7月1日(月)からグランドオープンする。ちなみにプレオープンは、通常8000円の「おまかせ握り」が3000円で提供するとあって、すでに満席になっている。8000円でも十分に安いと私は思う。

6月25日、私はまた開店記念に写真を撮ってあげようと思っている。

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大将、このたびはおめでとうございます。また旨い寿司を食べさせてください。

以下が大将の新店の詳細である。興味のある方は是非訪れてほしい。

 

鮨 古川

住所:名古屋市中区錦3-18-3 栄グリーンビル地下1階

電話:052-385-0489

営業時間:18時~22時(21時L.O.)

定休日:土・日・祝(予約があれば営業)

メニュー:「おまかせ」8000円(要予約)