永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

浜松でうなぎを堪能。

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探究心のある店主が、好きだ。

食材を愛する店主が、好きだ。

私の周りにはそんな店主が沢山いる。

浜松市北区にある『鰻処 うな正』の店主、伊藤正樹さんもその一人。

www.unamasa.jp

出会いは10年以上前。『STORY』の取材がきっかけだった。

当時は取材NGだったが、そんなことも知らずに電話をした私。

「私と名前が同じだったから、何となく縁を感じて(笑)」と、伊藤さん。

Facebookでも繋がり、私が家族の写真を載せたり、エピソードを投稿すると「いいね!」を押してくれる。何だか、恥ずかしい(笑)。

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昨日から一泊で浜松へ出張だったので、久しぶりに食べに行った。

この日は本来、定休日。しかし、団体予約が入っていたため、入ることができた。

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店内にはセンスのよいオブジェがさりげなく飾られている。とても心地良く、うなぎを待つ時間はまったく苦にならない。

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先付け二種。いずれも静岡産の三ヶ日みかんが味のアクセント。

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共水うなぎヒレ巻き。

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メニュー名前忘れた(^^;) いずれも香ばしくて旨い。本当はキリッと冷えた冷酒をきゅっとやりたかったが、車で来たので断念。お酒と合うだろうなぁ。

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手造りぬか漬け。この見せ方!ただでさえ旨いのに、こんな見せ方……いや、“魅せ方”だな。漬かり具合も完璧。酒の肴にもなるし(飲んでないけど)、これから運ばれてくるうな重の箸休めにもなる。

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共水うなぎ上うな重。

さっきから、ちょいちょい出てくる「共水うなぎ」とは、天然うなぎと限りなく同じ環境で育てられたうなぎ。通常の養殖うなぎは1年未満の新子が重宝されるが、共水うなぎはゆっくりと、天然うなぎと同様に四季を体感させて育てる。そのため、出荷数が少なく、愛知県で食べられる店も1店のみ。

伊藤さんは、この共水うなぎを心から愛しているのである。共水うなぎのことを嬉しそうに語る彼からひしひしと伝わってくるのだ。

ただ、共水うなぎは天然うなぎとほとんど変わらないので、身や皮の厚みや脂ののり方など個体差が大きいのである。これは仕方がない。私が伊藤さんをスゴイと思うのは、個体差に合わせて調理法を変えているところだ。

ちょっと共水うなぎのウンチクは後にして、肝心な食レポを(笑)。

共水うなぎの特徴は、皮と身の間の部分にある脂。甘みがあり、トロのような繊細な口どけがたまらないのである。

今回食べた共水うなぎは、皮そのものに濃厚な旨みがあった。それと、身のきめの細かさ。以前に食べたよりもムチャクチャ旨い!伊藤さんの技術も格段に上がったのだろう。しかし……。

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「いや、それは共水うなぎのおかげです」と、伊藤さんはどこまでも謙虚。

以前は、名古屋と同様に蒸さずに焼く“地焼き”だったと記憶している。てっきり今回もそう思っていた。ところが、伊藤さんに聞いてみると“蒸し”を入れたという。

「永谷さんが召し上がったうなぎは2年ものの“ひね”ですから、蒸しをいれました。仕入れたうなぎに合わせて地焼きだったり、蒸しを入れたり。蒸しの時間もうなぎによって違いますが」とのこと。

うなぎ屋さんにとって、それは当たり前のことかもしれないが、感動した。なぜなら、同じサイズの、同じ厚みのうなぎを仕入れれば、いや、まったく同じものなんてあるわけがないのだが、ある程度ということである。調理法もそんなには変わらないだろうと素人である私は考えるのだ。

伊藤さんは個体差の大きな共水うなぎをいちばん美味しい状態に仕上げている。ここまでの道のりは平坦なものではなかったと思う。バックグランドになっているのは「どうすれば、もっと美味しくなるか?」という持ち前の探究心に違いない。

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こちらは、デザート。

伊藤さん、ご馳走様でした!私も刺激を受けました!ありがとうございました!