母が亡くなってから7年半。
最近、母が作ってくれた料理をよく想い出す。
今思えば、母は料理が得意だったと思う。
手作りのエビフライやハンバーグ、旨かったなぁ。
店で食べるよりも旨かった。
今でこそ私は食べ物の好き嫌いはほとんどないが、
幼い頃はかなりの偏食だった。
心配した母は、あの手この手で食べさせようとした。
それもあって料理が上達したのかもしれない。
母の料理を最後に食べたのは、いつだろう。
晩年は寝たきりになり、入退院も繰り返していたから、
家事はすべて女房に任せていた。
次男が生まれて私たち家族と別居するまでは
まだ台所に立っていたと思う。
と、いうことは2002年頃、か。
17年間も食べていないのに、
その間、もっと旨いものを食べているはずなのに、
母が作ってくれた料理を今でも想い出す。
やはり母の料理というのは、
子供にとって特別なものなのだろう。
子供の頃に好きだった
エビフライやハンバーグよりも、
実は嫌いだった料理を想い出す。
例えば、煮詰まった味噌汁。
両親は生まれも育ちも名古屋なので、
味噌汁は赤だしだった。
朝に昼と夜の分も作り、その都度温める。
具材にナスや里芋を入れると、
溶けてドロドロになった。
それが私は嫌いだった。
でも今、無性に食いたい。
あと、天ぷらを揚げた翌日に作る天丼。
冷蔵庫に入れていた残り物の天ぷらを
やや辛口の天つゆでネギとともに煮込むのだ。
つゆが染みた衣はフニャフニャ。
それが私は嫌いだった。
でも今、無性に食いたい。
女房に頼んで作ってもらうこともできるし、
自分で作ろうと思えば、作れる。
でも、やはり、母が作ったものを食べたい。