永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

合わせ鏡。

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いくらスマホが普及したとはいえ、

「写真を撮る」ことは

非日常的な行為だと思う。

 

つい、さっきまで楽しく話していた相手に

レンズを向けると、

身構えてしまうのが何よりの証拠だ。

 

そこで思い出すのは、

写真専門学校時代に学んだ「絶対非演出」の写真。

 

これは、写真家・土門拳が提唱した

リアリズム論で、

絶対非演出、つまり、ヤラセなしで

ありのままの姿を写真におさめるというもの。

 

カッコイイ。実に、カッコイイ。

学生時代にはとても憧れた。

 

が、結論から言えば、

「絶対非演出」の写真を撮るのは

不可能である。

 

なぜなら、写し手が

「絶対非演出」と意識している時点で

それは「演出」になってしまうからだ。

 

被写体の笑顔を撮りたいと思えば、

写し手も明るい表情で

「笑って」と指示を出す。

 

写し手が無表情、無言ならば、

被写体も無表情になる。

 

写し手と被写体は、

合わせ鏡なのである。

 

写し手にしか見せない顔を撮るには、

写し手は相手にとって

「特別な存在」にならねばならない。

 

写し手と被写体との関係性。

それが、

ポートレート写真のすべてだろう。

 

※写真は、先日開催したイベント『アプリ不要!? プロフィール撮影のススメ』の会場に遊びに来てくださったタレントの高橋みつるさん。みつるさん、ありがとうございました(^^)/