永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

報酬と謝礼。2

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私のような芸能人でも一般人でもない者がテレビに出たときの謝礼の話。

前回のブログでも書いたように、収録が決まってからギャラが出るのか出ないのかを確認してもスルーされかねない。以来、出演オファーを受けた時点で聞くことにしている。この際、金にウルサイ奴だと思われても仕方がない。でも、〆切に追われる中で時間を空けるのだ。その対価とまではいかなくても、謝礼を求めるのはそんなにおかしいことだろうか。

そんな中、先日某局の○○○○という番組スタッフから電話があった。昔、その番組には何度か出させていただいたことがあるし、同じ局で他の番組でも大変お世話になった。もちろん、これまで謝礼は出ていた。

今回のオファーも同じように捉えていたのだが、「番組の企画へのご協力」とのこと。これは、私が出演するとか現時点では決まっていないが、企画のためのリサーチをお願いできればとのことだった。以下がそのやりとりである。

局「今、○○○○という番組で××××というグルメの特集を企画しています。ナガヤさんが出演するかどうかは今のところ決まっていませんが、その企画に是非ご協力いただけないでしょうか」
永「それは、お仕事としてのオファーでしょうか?それとも、ボランティア的にお手伝いしてほしいというお話でしょうか?」
局「ハイ、お仕事としてお願いできればと考えています。取材協力費としてクオカードを差し上げます」

これはテレビに出演する、いわゆる「演者」ではなく、企画を具現化するためのリサーチャー、つまり、「外部スタッフ」としてのオファーだと私は受け止めた。

そもそも、私がテレビに出たところで、そのメリットは、飲食店のようにお客さんが殺到して売り上げが伸びるということはない。せいぜい、知り合いに「見たよ♪」と言われることと、このブログのアクセス数が伸びるくらいである。以下がやりとりの続き。

永「私が今持っている情報の中からぱっと出せるものであれば紹介しますが、その企画内容の場合、知り合いの料理人に聞いたりしてイチからリサーチしなければなりません。その作業を私は出版社から仕事として請けているわけです。飲食店に例えると、食材の仕入れと仕込みのようなものです。その報酬がクオカードというのは、ほぼボランティアということじゃないですか」

局「大変失礼いたしました。上の者と相談してまた連絡させていただきます」

断っておくが、このようなケースはこの局だけではない。これまで別の局でも幾度となく同じようなことがあった。番組も雑誌と同じように予算がある。できるだけお金をかけずに制作したいという気持ちもよくわかる。しかし、企画のリサーチというのは、番組を制作する上での要ではないのか。その報酬がクオカードというのは、どう考えてもおかしいと思う。

電話をいただいてから数日経っている。番組スタッフの方から連絡は、ない。

※写真は某店の「魯肉飯(ルーローハン)」。この写真が使われている記事は、昨日2/1(土)発売の雑誌『STORY』(光文社)に掲載中。是非チェックしてください。

storyweb.jp

 

追記(2020年2月2日13:22)

昨日と今日のブログで芸能人でもない、だからといって一般人でもない私がテレビ出演した際の「謝礼」について書きました。Facebookとは違い、ブログは誰でも見ることができます。テレビ業界の人が見て、「ナガヤってクソ面倒くせぇ奴」、「ナガヤは金にウルサイ奴」とのレッテルを貼られても構わないと覚悟の上でした。

今朝、ブログに登場した某局のスタッフさんから連絡がありました。ブログを見たそうで、とても反省した様子でした。
「プロとして仕事をされてる方に対して失礼な対応をしてしまいました」と、きちんと謝罪をしていただきました。言葉の端々から彼の誠意が伝わってきました。謝罪なんて誰だってしたくはありません。でも、彼はしました。彼もまたプロだったのです。私はこういう人と仕事がしたいと思いました。
皆様、大変お騒がせいたしました。