永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

一流の二刀流。

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先日、取材に行った和食店のご主人から興味深い話を聞いた。

そのご主人、今の店を開店させる前は別の場所で居酒屋を営んでいたそうで、とくに唐揚げと串かつが人気だったとか。

「もともと、店は亡くなった父がやっていて、ずっと閉めていたんですよ。私が割烹や料亭で修業を終えて、その後を継いだんです」と、ご主人。

当初は居酒屋ではなく、修業先で覚えた本格的な和食を楽しんでもらおうと思っていた。ところが、店と訪れた客のリクエストに応える形で唐揚げや串かつを出すようになり、いつの間にか和食店ではなく、居酒屋として認知されてしまった。

私がグルメ取材を始めたばかりの頃、寿司屋であるにもかかわらず、天ぷらやうなぎもあるような、何屋なのかよくわからない店が沢山あった。ある町を訪れたとき、「寿司・天ぷら・うなぎ・味噌煮込みうどん」と書かれた店があり、ひっくり返りそうになったことがる。きっと、味噌煮込みうどんは、客のリクエストで始めたのだろう。

東京の店の店主なら、客の無茶なリクエストに対して「よそへ行ってくれ」と、突っぱねるだろう。が、名古屋の場合は、ついつい聞いてしまう。それは良い部分でもあり、実際に客のリクエストから新しいメニューやヒット商品が生まれたりすることもある。

しかし、彼は唐揚げや串かつを店の名物にしようとは思わなかった。

「唐揚げや串カツを作るのが本当に嫌になっちゃって。嫁に、もう唐揚げは作りたくない。だから店を閉めて、勤め人になろうかなって相談したんです。すると、『移転すれば?』って。それで今の店をはじめたんです」

彼は今、まさに水を得た魚のように自分の作りたかったものや客に食べてほしいと思うものを作っている。

私も、自分にしかできないことにこだわり、誰がやってもいいような仕事は断るようにした。とても勇気が要ったし、実際に仕事も減った。でも、まったく後悔はしていない。これからも、自分には必要がないと思ったものは、どんどん切っていこうと思っている。

と、なると、写真か、それとも文章なのか。その選択を迫られるときがくる?たしかに写真と文章を両方やるというのは、前に書いたような、寿司屋なのに天ぷらやうなぎもある店と同じかもしれない。しかし、めざすのはエンゼルスの大谷翔平。一流の二刀流にオレは、なる!!!

※写真は、名古屋駅・JRゲートタワーにある『銀座イタリー亭』のパスタ。ここ、オススメです!

銀座イタリー亭 JRゲートタワー店
〒450-6612 愛知県名古屋市中村区名駅1-1-3 JRゲートタワー12F
4,000円(平均)1,050円(ランチ平均)

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