永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

大御所。

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先日、業界の人ではない知り合いから「ナガヤさんって、名古屋では大御所ですよね」と、言われた。

お、おっ、大御所!?芸能人に例えるなら、サブちゃん的な?んなわきゃぁないぢゃないかぁ。私自身は若手だと思ってるし、いつでもヨゴレる覚悟もできている。

若い頃、ナガシマスパーランドの「スチールドラゴン2000」が登場したとき……だから20年前、か。スチールドラゴン2000にグラビアアイドルを乗せて絶叫シーンを撮影するという仕事を請けた。ジェットコースターからカメラが落っこちないように、手とカメラをガムテープで固定して強烈な「G」に耐えながら撮影したことがある。

しかも、当時はデジタルではなく、36枚撮りのフィルム。あっという間に撮り終わるものの、きちんと写っているかどうかもよくわからない。だから、保険をかける意味で5、6回連続で乗った。グラビアアイドルは大喜びだったが、私は本当に死ぬかと思った(笑)。同時にこれが若手の仕事だと実感した。

36枚×6回で、 撮影枚数は216枚。さすがにこれだけ撮りゃ1枚はマトモに使える写真だってある。無事にページを飾ることができたわけだが、そんな仕事、今やれと言われても、やるよ(笑)。

大御所なら自分の技術の至らなさに悩むことなんかないだろうし、人生を達観しているイメージもある。私なんぞ悩みだらけだし、日々の仕事に追い立てられて、心に余裕がなくなることも多々ある。

そもそも、私の写真も文章も技術は我流だし、すばらしい作品を世に出している同世代の同業者は山ほどいる。彼らが本流なら、私は傍流。名古屋めしライターなら、「オオタケさんじゃない方」(笑)。メインではなく、サブ。いわば日陰者だ。そんな知る人ぞ知る存在で構わないとずっと思っていた。

でも、欲が出た。日陰者だって、少しくらい日の目を見てもいいじゃないかと。そう思ったのが49歳の冬。ってことは、まだ1年とわずか。これまでの遅れを取り戻そうと必死に走っているつもりだ。ちょうど、何を思ったのか再び勉強がしたくなって夜間高校に入学した中卒のおじさんと同じようなものである。

だから、キャリアは長くても決してベテランではない。大御所なんてとんでもない。なりたいとも思わないわっ!今はキャリアの長い駆け出し、とでも思っていてくれ。今に見てろよ……。