永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

今。1

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4月になった。今月、私は51歳となる。と、いうことは50歳となって1年が経ったことになる。自分が進むべき道について振り返って考えたとき、以前とは少し変わったような気がする。

50歳を迎える前、私は「ナゴヤにナガヤあり」と、東京のメディア関係者に言わしめることを目標に掲げてきた。もちろん、今もその気持ちは何ら変わっていない。

しかし、それはメディアにおける自分のポジションというかスタイルを確立することであり、第一線でバリバリと仕事をした結果、そうなりたいという願望だ。

それよりも、もっと大切なことがあることに気が付いたのである。それは、カメラマンとして、ライターとして、どう生きて、何を伝えたいのか、ということ。

ご存じの通り、私の仕事の大半は、食の取材・撮影である。客目線から料理の美味しさや店の魅力を伝えるのがカメラマン、ライターとしての私の役割だ。とはいえ、伝え方にはさまざまな方法論がある。

私の場合は、料理を作る人にスポットを当て、彼らの言葉を紡いでいくのが私のスタイルであると思っている。人気店の店主は、料理を作ることがルーティーンになっていない。常にどうすればもっと美味しくなるか、どうすればお客に喜んでもらえるかを考えている。

つまり、私たちが店で食べている料理や受けているサービスは、彼らが「今」できることの集大成であるといえる。それは私も同じで、過去に撮った写真、過去に書いた文章よりも今の方がクオリティが高いと思うし、そうでなければならないと思っている。

モノを創ることを生業とする者は、日々進化する。過去に何を創ったのか、よりも、今何を創っているのかの方が重要ではないだろうか。そんなことから、私は「今」を懸命に生きている人が好きだし、それを伝えていくのがカメラマンとして、ライターとしての使命だと思っている。

昨年末からメイクアドバイザーの山村えり子さんと始めたイベント「メイク&フォト」は、当初、SNSに使用するプロフィール写真に写真加工アプリを使っている人が多いということから「アプリ不要!プロフィール写真のススメ」というテーマで行っていた。

しかし、山村さんと話す中で、これをもっと多くの人々に喜んでいただくには、このテーマでは弱いという結論に至った。そこで私たちがめざすものを全面に出し、それに共感された方に来ていただこうと思った。そのテーマが“今の私が好きになる。”である。

この話はじっくりと書いてみたいので、次回に続く。

※写真は、名古屋・栄4丁目『膳処 桂川』のコース料理の一品「きんきの自家製干物」。