永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

プロ×プロ=∞

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今は誰もがスマホで写真を撮る。

「これだけスマホが普及したら、カメラマンとしても困るでしょ?」と、ときどき聞かれることがある。実際、私もiPhoneで頻繁に撮る。私のインスタ(id:shuzaiya)にアップしている写真のほとんどはiPhoneで撮ったものだ。

厄介なのは、iPhoneのカメラがフルオートであること。逆光やミックス光など条件が悪いときにはなかなか撮りたいようには撮れないのである。そのため、画像加工アプリが必須となる。

素人さんの場合、このアプリがなかなか使いこなせない。だから、どれだけスマホが普及してカメラマン人口が増えようが、まったく関係ないと思っている。むしろ、スマホで撮った写真が世の中に溢れれば溢れるほど、プロがきちんとした機材を用いて撮影した写真が光り輝く。

機材だけではない。アングルや構図などの絵作りや瞬間を見逃すことなくシャッターを切るタイミングなども、素人さんがいくら頑張っても敵わないと思う。何しろ、私たちは失敗が許されない状況で撮っているのだから。

誰もが写真を撮るからこそ、プロが撮影した写真を必要とする人がいる。それは間違いない。ある店で、私が撮った写真と店のご主人がスマホで撮影した写真を店内のPOPにしたところ、私の撮影したメニューばかり注文されたという。つまり、プロが撮った写真には訴求力があるのだ。

料理も同じこと。多くの人は自分で料理を作ることができる。でも、プロの料理人が作った料理を食べに行く。食べたくなるような、人を引きつける訴求力があるからだ。

また、メイクも同様。多くの女性は自分でメイクをする。でも、メイク&フォトの相棒である山村えり子さんのようにメイクを生業とする人もいる。それも彼女のメイクに訴求力があるからだ。

料理にしても、メイクにしても、プロには訴求力があり、写真はそれを目に見える形にするためのものである。あ、料理やメイクを補完するものではない。補完だと「+」になってしまう。「+」ではなく「×」だと私は思っている。

ゆえに、料理のプロ×プロの写真家、メイクのプロ×プロの写真家という数式が成立するのだ。その答えは∞。無限の可能性を持っていると言ってもよい。

プロの料理人が作った料理をプロの写真家が撮ると、集客につながるだけでなく、写真を見た人すべてが幸せな気分になる。

一方、メイクのプロがメイクを施した人をプロの写真家が撮ると、その人にとって宝物の一枚となる。これもまた写真を見た人すべて幸せな気分になる。この、プロとプロによって生み出す「∞」に、私はこの上ないやり甲斐と喜びを感じている。

 

※写真は、名古屋駅・うまいもん通り内『そば・酒処 みやび』の一品。