永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

心意気。

あるヘアメイクさんから連絡、というか相談があった。

「少し前にブライダルの仕事で担当したお客さんの仕上がりがどうしても納得がいかない」と。何でも、そのお客さんは、メイクや美容に相当なこだわりを持ってらっしゃるようで、「アイラインはこうで、チークはこう」と、言われるままにやっていたらオカシクなったらしい。

しかも、美容にこだわっているわりには肌の状態もあまりよくなく、メイクののりも悪かったという。以前、メイク&フォトの相棒、山村えり子さんから聞きかじった

「スキンケアをしてからメイクをするとよい」という話を思い出したので、それを伝えたところ、それをやってもダメだったというから、本当にヒドイ状態だったのだろう。

「スキンケアも間違ったことをしているかもしれない」と、ヘアメイクさん。

お気に入りの一枚を残したいのであれば、自分好みのメイクを伝えることは大事ではある。しかし、自分好みのメイクが自分に似合っているとは限らない。だから、メイクさんに任せてしまうのがいちばん!と、言いきれない部分もあるから難しい。

実際、3年ほど前に姪の結婚式で私の妻はメイクさんにすべてお任せしたのだが、80年代のトレンディードラマに出てきそうな仕上がりになってしまったのだ。っていうか、平野ノラ的な(笑)。

そのお客さんも、過去にお任せでやってもらって残念な結果になったことがあるから、あれやこれやと注文をつけたのかもしれない。ただ、あまり注文が多いとメイクさんも萎えてしまうのも事実。私も撮っているときにいろいろ注文をされたらヤル気がなくなってしまうもんな。

でも、写真の場合は、カメラマンが撮った作品を見て、そのセンスが気に入ればオファーが出せる。しかし、メイクの場合、実際にやってもらうまでそのセンスはわからない。それが問題だと思うのだ。

だから、メイクさんもポートフォリオサイトを作り、作品をのせるべきだと思う。いや、もうそういうことはやっているメイクさんもいるだろうな。私でよければ、メイクさんのポートフォリオ用の写真くらい撮るぜ(笑)。

おっと、ヘアメイクさんからの相談に話を戻そう。その、どうしても仕上がりに納得がいかないお客さんをもう一度、メイクして撮影したいという。それも自腹でスタジオを借りて、自腹でカメラマンを手配して。私はその撮影をお願いされたのだ。

私なんぞのセンスを気に入ってもらえたことが嬉しいし、何よりもその職人ともいうべき心意気が気に入った。格安で撮らせてもらおうと思っている。