永谷正樹のなごやめし生活

「なごやめし」について書き綴ります。

名古屋めし。2

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万博開催から10年の時を経て、愛知県や名古屋市、名古屋商工会議所などで「なごやめし普及促進協議会」が設立された。名古屋めしを愛知県や名古屋市における観光のキラーコンテンツとするのが目的だ。

この時点で私は、名古屋めしを全国に広めるという自らに課した役割を終えたと思った。同時に名古屋めしに対する気持ちが冷めていくのがわかった。

そもそも、きしめんや味噌煮込みうどん、ひつまぶし、手羽先などを一括りにするのはいかがなものかと思った。名古屋めしの魅力を雑誌で書きまくっていた頃には、そんなことは考えもしなかったのに。

たしかに、全国に発信する場合、一括りにした方がコンテンツとしては面白いし、メディアからも注目される。が、地元で暮らす私たちまで、それらを「名古屋めし」と捉えるのは少し違う気がするのだ。

「名古屋めし」という言葉ができる前から、普通にきしめんや味噌煮込みうどんを食べていたわけである。ある日突然、「今日からこれらをまとめて『名古屋めし』と呼びます」と言われても、「はぁ、そうですか」としか言いようがない。

それに、名古屋めしを観光のキラーコンテンツにして誰が喜ぶのか。愛知県や名古屋市に県外から多くの人々が来てもらってお金を落としていけば、税収が増えて、回りまわって私たちの生活も楽になるかもしれない。が、愛知県も名古屋市もメインは自動車産業を頂点とする製造業であり、観光に力を入れていたわけでもないので、それはほぼ望めないだろう。

では、直接そのメリットを享受できるのは誰か。『るるぶ』などの観光ガイドに必ず載っている「名古屋めし」を看板に掲げる大手外食産業である。もともと資本力がある店がお上のお墨付きをもらうようなものである。

もっとわかりやすく言うと、商売のために「名古屋めし」という言葉に乗っかっているだけの店が私は大嫌いなのである。何を食べてもセントラルキッチンの無機質な味しかしない。作り手の熱意や思いは微塵も感じないのだ。

だから、ミシュランにあの店やこの店が掲載されたことに大きな疑問を抱いている。もっとしっかりとしたマインドを持って仕事をしている店はあるのだから。ホント、ミシュランの調査員の目は節穴なのかと思っている。まぁ、オモテには出せないようなオトナの事情があったのかもしれないが。

だからといって、これから私は名古屋めしの取材をしないと言っているわけではない。

(つづく)