永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

名古屋めし。3(完結編)

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えーと、どこまで書いたっけ。あっ、これから私が名古屋めしを取材するのかって話ね。その前に、今後、私は名古屋めしとどう向き合うかについて書こうと思う。

「名古屋めし。2」でも触れたが、「名古屋めし」という言葉ができる前から、名古屋人は普通にきしめんや味噌煮込みうどん、手羽先、味噌かつなどを食べていたわけである。それらを「名古屋めし」と一括りにするのではなく、きしめんならきしめんとして、味噌煮込みうどんなら味噌煮込みうどんとして、きちんと取材をする。

つまり、「名古屋めし」というフィルターを外すということだ。きしめんや味噌煮込みうどんは和食に、台湾ラーメンは中華、味噌かつやあんかけスパは洋食にカテゴライズされる。「名古屋めし」という、いわば記号化したものではなく、一つの料理として向き合うのが、フードライターの務めであろう。

例えば、きしめんを作る人だって、「名古屋めし」を作っているとは思わないだろう。美味しいきしめんを作っているのだ。フードライターとしてそれに向き合うのは当たり前だ。

行政や観光協会、PR会社が「名古屋めし」を広めるのは全然悪いとは思っていない。むしろ、どんどんやればよい。地元だけの、内輪の盛り上がりに止まることなく、全国に、全世界へガンガン発信してほしい。同様に、地元の客よりも観光客の方が多い店も「名古屋めし」の店としてどんどん』誘致すればよい。私は取材しないけど。

私がやるのは、美味しいきしめんを、美味しい味噌煮込みうどんを、美味しい味噌かつを、美味しいひつまぶしを紹介すること。さらには、それらを食べて「美味しい!」と感じるその奥には、作る人の生きざまや料理に懸ける思いがあるということを伝えたい。

今回、「名古屋めし」と向き合う中で、『永谷正樹のなごやめし生活』というブログのタイトルも替えようと考えた。が、これはこのまま残すことにした。自分のブログを開いて、「なごやめし」という文字を見るたびに、今日書いたことを思い出すようにするためである。