永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

自問自答のススメ。

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少し前、このブログを読んでくださっている方と話しているとき、

「ナガヤさん、最近ブログの内容がかわりましたよねー。なんか、前向きになったというか」と言われた。いやいや、私自身はそんな後ろ向きだった覚えはないが。でも、そう映ったのであれば仕方がない。

何というのかな。今思えば、いちばん仕事を頑張らねばならない40代に私は、サボってばかりだった。50歳が目前に迫り、カメラマン・ライターとして、先が見えてきたとき、これからどう生きていけばよいのかわからなくなってしまったのだ。

いくら悔やんでも悔やみきれないほど悔やんだ。いったい、自分は今まで何をやっていたのだろうと。その気持ちをストレートに書いていたから、後ろ向きに見えていたのかもしれない。

40代の頃、仕事はやっていた。それなりに一生懸命だった。しかし、生活の糧という意識が強く、「創る」よりも「こなす」感じだったように思う。飲食店で例えるならば、看板メニューのみで勝負していて、その味を後生丁寧に守り続けている老舗だ。

一見、それでもよいと思えるかもしれない。が、日々、味の追求をしなければ老舗といえども未来はない。それと同様に、カメラマンやライターも写真や文章のクオリティを貪欲に追求せねばならなかったのだ。

致命的だったのは、仕事をする、その先がまったく見えていなかったということ。目の前にある仕事をきちんとやっていさえすれば、明るい未来が待っていると大マジメに考えていた。そんな都合よくいくわけがなく、クラゲのようにただ流されていくだけだ。

それはカーナビに目的地を入力せずに走らせているようなもので、安全運転をしていても永遠に目的地にはたどり着けない。目的地を入力するという作業は、自分自身としっかりと向かい合うことである。それ以外に方法はない。

幸いなことに、私はこのブログを書くために自分自身に向かい合うことができた。思いの丈を綴ることができた。やりたいことやめざすことを宣言できた。ブログの読者でもある方が「前向きになった」とおっしゃったのも、自分自身と向かい合い、自問自答することで自分の気持ちが整理できたからだろう。このブログがなかったら今も迷っていたと思う。

生き方に迷ったら、生きていくのが辛くなったら、「お前は何者なのか」、「お前は何がしたいのか」、「お前はどんな生き方がしたいのか」と、自問自答すればよい。そして、内なる自分の声を聞けばよい。どこにでもいる、平凡な私が25年もフリーランスを続けることができたのはそこに尽きる。

前に私の恩人で編集者の山本由樹さんと話していたとき、「65歳くらいまでは仕事をする」とおっしゃっていた。私も現役を引退するのは65歳と決めた。と、なると、あと14年しかないから、多くは求められない。

まずは昨日ブログに書いた「一緒に仕事をしてみたいヤツ」になることである。その障壁となると判断したら、どんどん切り捨てていく。何しろ、時間がないのだ。夢を実現させるにはそんな冷徹さも必要だと思う。

 

※写真は、昨日のブログにも登場した『チャーハン専門店 金龍』の店主、清水良太さん。昨日は後ろ姿だったので、今日は前から(笑)。