永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

味の記憶を辿る旅。

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訳あって、意識的に町中華を食べている。いや、もともとチャーラーが好きでよく町中華は食べに行くのだが、もう少し掘り下げて、というか、町中華の魅力とは何なのかを考えながら食べている。

旨い、安い、居心地がよいなど、様々な要素が挙げられる中、まだ結論は出ていない。しかし、気がついたことがある。

町中華はどの町にもあり、子供の頃から食べている、慣れ親しんだ味であるということ。少し前のブログにも書いたように、私の町中華の原風景は、母親のいない土曜日の昼に近所のスーパーにテナントで入っていた店である。

と、同時に、そこで食べたラーメンが私の中ではラーメンの原点であり、味の基準になっているのだ。

また、編プロ時代、深夜に帰宅する途中によく立ち寄っていた店や、編プロ時代に社長が出前をとってくれた店も町中華では忘れられない店である。幼い頃や食べ盛りの頃に食べた味というのは、記憶の中に強烈なインパクトを与えるのだろう。

町中華を訪ね歩くのは、味の記憶を辿るという作業なのだ。比較して、あそこは旨いとか不味いとか、そういうレベルの話でもない。古いアルバムを眺めるような、センチメンタルな行為。

自分の思い出の店へ行って、思う存分思い出に浸れば良いのではないか。そう思う人もいるだろう。でも、違うのだ。第一、行こうにも店が潰れてしまっていては行けないし。同じ味を求めているわけでもない。わかるかなぁ。

私はチャーラーの食べ歩きを「チャーラーの旅。」と命名した。旅、なのだ。味の記憶を辿る旅。アラーキーではないが、センチメンタルな旅。

一方、フレンチやイタリアン、本格的な和食はどうか。同じ旅でも新しい味を発見する冒険の旅、ではないか。

町中華では、フレンチやイタリアンのように、斬新で、意表を突かれることは体験できない。大当たりが少ない代わりに、大ハズレもほとんどない。どの店でもそこそこ食べられる。それもまた町中華の魅力だろう。やはり、町中華の世界は深い。

 

※さて、突然ですが、ここで問題です。トップ画像の料理を出す店とメニュー名は?正解した方は、この料理を御馳走します(笑)。先着1名限定です。奮ってご応募ください(笑)。