永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

生き直すために、突き抜ける。

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今日は旧知の店のご主人が新しくオープンさせる寿司屋のメニュー撮影。

「念願の寿司屋です」と、ご主人。和食店で修業を重ねて、自身も長いこと天ぷらを中心とした和食店を営んでいた。寿司屋がやりたかったというのは初耳だった。

「もともと寿司屋をやりたくてこの世界に入ったんです」とのこと。回り道をしたかもしれないが、結果的に夢が実現したのである。私で役に立つのであれば、応援してやりたいと思った。

私もカメラマンになりたくて、この世界に入った。ところが、一口にカメラマンと言っても、報道と広告、写真館のカメラマンは仕事の進め方やスタイルはそれぞれまったく異なる。和食とフレンチくらいの違いはある。写真専門学校へ入学して初めてそれを知った。

しかし、当時は仕事で写真を撮ることを下に見ていた部分は間違いなくあった。誰でもできるじゃねぇかって。専門学校を出た程度では絶対にできないんだけど(笑)、そういう風にトンガっていた。私はクソ生意気な学生だったのである。

当時、究極的にやりたいと思っていたのは、写真作家としての活動だ。それでは食えないがゆえに就職をした。いつの間にか、あれほど馬鹿にしていた仕事の写真にのめり込んでいった。同時に、写真作家への夢はどこかへ行ってしまった。

しかし、念願の寿司屋を開店させたご主人ではないが、私は50歳を前に「生き直そう」と決心した。それまで食っていくためだった仕事を、もっと自分自身にとって意味のあるものにしたかった。

「お前は何のために写真を撮り、文章を書いているのか」と自問自答を繰り返した。いや、今も自問自答し続けている。そのおかげで一つ一つの仕事に対して、真摯に向き合うことができた。

さらに、一つ、結論に達したのは、自分にとって写真を撮り、文章を書くことは、自己実現であり、最大にして最高のエンターテイメントであるということ。どんな遊びよりも楽しくて、やりがいがある。だから休みなんて一日も要らない。

現状をキープ、いや、さらに拡大路線を歩みつつ、次へのステップも考えねばならない。ハッキリしているのは、永谷正樹、というカメラマンとライターの二足の草鞋を履くヘンな奴がいるということをメディア業界の人のみならず、一人でも多くの人々に認知してもらうことだ。つまり、知名度を上げること。

今のところ、具体的な方策は、ない。が、目の前にある仕事をできるだけ数多くこなして、記事を読んでくださった方やテレビのO.A.を見てくださった方がこのブログやHPに来てくださるというのが王道だろう。

もう一つ、道があるとしたら、私、というキャラクターではなく、私が撮った写真や書いた文章から名前が広がっていくというケース。

先日、一宮市木曽川町の『カフェ メールネージュ』で開催した「メイク&フォト」イベントに来てくださった方が早速、SNSのプロフィール写真を替えたそうだ。それを見た方たちがかなりザワつき、オーナーの遠藤由香里さんに次回はいつやるのかという問い合わせがあったという。

このようなケースを増やすためには、「メイク&フォト」イベントを開催し続けるしかない。芸人に例えると、イベント開催は舞台である。地味ではあるが、客の反応がライブで伝わってくるので実力はつく。

SNSで注目を集めるのは、テレビに出て有名になるのと似ている。実力もないのに、テレビ向けの「瞬間芸」がウケたことで、自分に実力があると思い込んでいる芸人もさぞかし多いだろう。私はそんな風にはなりたくない。

私は生来のナマケモノゆえに、すぐにラクをすることを考えてしまう。まぁ、51歳という年齢に対して、焦っているということもあるが。手っ取り早く夢を叶える方法なんてありゃしない。地道に、確実に、一歩一歩、進んでいくのが結果的にいちばんの早道なのである。生き直そうと決心してから、そこに気がついた。

それにしても、51歳にもなって、夢がどうとか、世間的に見たら、おそらく、いや、間違いなく私は「イタいヤツ」だろう。まぁ、人にどう思われようが知ったこっちゃないが。

そんなことに気を取られていたら、生き直すことなんてできやしねぇ。世間の目とかジョーシキとかクソ食らえ。そんなくだらないものから突き抜けた者が世の中を動かしたり、文化を構築したりするのである。突き抜けてやるぜ、絶対に。