永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

楽しいコピーライティング。

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私はライターであって、コピーライターではない。いずれも文章を書く仕事ではあるものの、中身は大きく異なる。

私の場合、お店や人を取材をして、雑誌やWebなどのメディアに文章を載せる。文章は読者様のものであり、私も読者目線で文章を書く。そして、メディアから報酬を受け取る。

一方、コピーライターの場合、文章は取材したお店や人のためのものである。お店に来るお客さんのやお店の商品のユーザーの目線に立って文章を考えるが、目的はあくまでもお店が繁盛することや、商品が売れること。

ゆえに、お客さん目線よりもお店、すなわちクライアントの考え方が優先させる。報酬は、取材先または、間に入っている広告代理店からいただく。

コピーライターよりも、ライターの方が主観を入れることができる。昔はできるだけ公平中立な立ち位置で書苦ことを心がけていた。が、いつの間にか私は記事の中にどんどん主観を入れるようになっていた。

あまり自己主張すると、読者様からクレームが来るのではないかと頭を過ぎることもある。幸いにも今のところ何もない。担当編集からも何も言われない。記事に主観を入れたら自由になったのだ。それが文章を書くことが苦にならなくなった原因かもしれない。

ライターと比べて、コピーライターは不自由だと思っていた。なぜなら、クライアントの意見が第一だからである。白いものでもクライアントが黒と言えば、黒になってしまう。それが広告の世界なのだ。私はそれが嫌で23歳の時に見切りをつけた。

ところが、である。昨年あたりからライターであるはずの私にコピーライティングの仕事のオファーが来るようになった。

その一つが愛知県幸田町の幸田町消防本部で働く署員が自らレシピを考案した「消防カレー」である。

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消防署員は食事中でも出動することがあり、火災や救急の現場から戻ってきてから食べかけの料理を食べると聞いて、私は「火事場のチカラメシ。」というコピーを考案した。自分で言うのもアレだが、なかなか秀逸だと思っている。

昨日は、安城市にある某店の新メニューのキャッチコピーのプレゼンテーションを行った。その新メニューをPRするポイントを明確にした上で、A案〜D案を提案したところ、私イチ推しのA案に決まった。私は心の中でガッツポーズをした。

コピーを生み出す原動力は、やはり取材である。その際にいかにクライアントとの関係を構築するかが鍵となる。広告制作会社で働いていたのは、20歳〜23歳。世間知らずの若者ゆえに、プレゼンしたところでどうしても説得力に欠ける。それが私に「クライアントは常に上から目線」という印象を与えたのかもしれない。

コピーライティングもまた楽しい。広告の世界に見切りをつけてから30年経って気がついた。