まずは、告知から。
マンションの管理会社『合人社計画研究所』が運営する『Wendy-Net』にてエッセイを寄稿しました。オファーをいただいたいきさつは、今年10月8日のブログ「エッセイスト、デビュー」にも書かせてもらった。
エッセイは↓こちらから、ご覧になれます。駄文ですが、よろしければご覧ください。
さて、ここからが本題。今週前半は、喫茶店のモーニングを取材していた。
今、こうして「モーニング」というフレーズをフツーに使っているが、考えてみると面白いコトバである。
直訳すると「朝」。喫茶店のモーニングは、喫茶店の朝、ということになる(笑)。そこから連想されるように、正しくは(?)喫茶店での「朝食メニュー」を意味するのだが、愛知県ではその意味合いがやや異なる。
愛知県の喫茶店でコーヒーなどのドリンクを注文すると、無料でトーストやゆで卵などが付いてくる「モーニングサービス」という意味になる。
ただ、それはひと昔前の話。2008年のリーマンショック以降、コーヒーやミルク、砂糖など、ありとあらゆるものが高騰し、ドリンク代だけのモーニングを継続するのが困難になった。だから、今ではドリンク代に100円〜300円を追加する「モーニングセット」が主流になっている。
あ、もちろん、今でもドリンク代のみでモーニングを出している店もある。その大半は何十年も昔からやっている店で、さすがに派手なものは出していない。トースト半切とゆで卵くらいだろう。それでも店にとっては負担であるのは間違いない。が、長く通ってくれている常連客のことを考えると、今さら止められないのだ。
県内でもモーニングの激戦地として知られる豊橋市を中心とする東三河の喫茶店では、名古屋や尾張に先駆けてモーニングセットを導入している。しかも、今を遡ること約40年前!
昭和50年代初頭、東三河ではモーニングサービスの競争が過熱化していたという。競走に敗れた店が潰れてしまうこともあったというから、どんどんエスカレートしていったのだろう。
そんな中、危機感を抱いた豊橋喫茶事業組合が「ドリンク代にいくらかプラスするモーニングセットを作ろう」と呼びかけた。これまでタダだったものが、ある日を境に有料となるわけである。当然、客からはブーイングの声が上がった。
中には抜け駆けをする店もあったが、多くの店はモーニングセットを推した。一時的に客は離れていったものの、時が経つにつれて戻ってきたという。以来、今日に至るまでずっと東三河でモーニングといえば、モーニングセットを指す。
喫茶店も町中華と同様に、後継者不足などにより店の数が減少している。いや、単価が安い分だけ町中華よりも深刻かもしれない。実際、東京には個人経営の喫茶店はほとんどないし。喫茶文化を守るためには、モーニングサービスからモーニングセットへとシフトする必要があるのだ。