永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

不定期連載企画・ひとり飯のススメ。(1)

f:id:nagoya-meshi:20210114214912j:plain

新型コロナウイルスは、飛沫で感染する。フードライターである私も大人数の会食はずっと控えている。まぁ、誰からも誘われないが(笑)。

大人数の会食による感染リスクは昼も夜も同じ。逆に言えば、ひとりで店を訪れて、黙って食事をすれば感染リスクは少ない。コロナ禍で食を楽しむには、“ひとり飯”がぴったりなのである。飲食店の支援にも繋がるし。

ってことで、私がひとりで食べに行った店を不定期連載企画『ひとり飯のススメ。』と題して、このブログで紹介しようと思う。

記念すべき第一回目は、愛知県額田郡幸田町の『大幸食堂』。あ、わざわざこの企画のために幸田町へ行ったわけではない。もちろん、お仕事である。そのついでに立ち寄ったにすぎない。とはいえ、幸田町へ出張が決まった時点で、お昼はどこで食べようか検索していたけど(笑)。

「食べログ」のレビューに、ここの中華そばを「幸田ブラック」と書いているレビュアーさんがいた。そこで思い出したのは、富山県富山市のご当地ラーメン「富山ブラック」。

正直、めちゃくちゃ旨いわけではないのだが、ガツン!と濃厚な醤油味がクセになり、富山を訪れるたびに食べている。まぁ、十分ハマっているということだろうが(笑)、「幸田ブラック」はどんなものなのかと興味が湧いたのだ。

f:id:nagoya-meshi:20210114222215j:plain

店に到着したのは、11時半すぎ。これも予定通り。お昼のピーク時を避けられるように、自宅を早めに出発したのだ。店構えは、まさに昔ながらの食堂。赤地に白文字で「中華そば」と書かれた暖簾がとても映えている。

店内へ入ると、すでに3、4名の客がいた。私が注文し終わった頃に彼らの席へ料理が運ばれた。全員が「中華そば」や「三絲麺(モヤシソバ)」、「焼肉麺(チャーシューメン)」などのラーメン類を注文していた。メニューはうどんや丼物もあるのだが、やはりラーメンが人気なのだ。

私が注文したのは、「焼肉麺(チャーシューメン)」(700円)。「焼肉」と書いてチャーシュー、らしい。「叉焼」もしくは「焼豚」が正しいと思うのだが。まぁ、どうでもいいや。5分ほど待って、目の前に運ばれてきたのが↓これ。

f:id:nagoya-meshi:20210114214912j:plain

丼一面にチャーシュー!10枚近くは入っていたと思う。脂身が少なくて、とてもやわらかい。しっとりとした食感も◎。チャーシューをスープに浸すと、味が染みてより美味しくなるので、1枚食べたところでスープを飲んでみた。

「富山ブラック」のような濃厚さを想像したものの、見事に裏切られた。濃いのは見た目だけで、コクの深さがハンパない。おそらく、西三河地方ならではのたまり醤油を用いているのだろう。

写真には写っていないが、麺は高山ラーメンのような極細のちぢれ麺。コシはなく、タラっとしているものの、スープがよく絡む上にスープの旨味を吸いまくっているので全然気にならない。しかも、並盛でもかなり量が多い。大盛(+150円)にしなくてよかったと思った。

f:id:nagoya-meshi:20210114224959j:plain

大盛を断念した代わりに「小ライス」(150円)を注文した。と、いうか、「富山ブラック」は、スープが濃厚すぎるゆえにライスを一緒に注文するのが当たり前なのだ。

「幸田ブラック」(あえてそう呼ばせてもらう)は、「富山ブラック」ほど塩辛くはないので、ライスとの相性は微妙と言えば微妙。しかし、私がライスを注文したのはワケがある。それは……。

f:id:nagoya-meshi:20210114225615j:plain

ご飯を1/3ほど食べてから、チャーシューをのせて、「ミニチャーシュー丼」にして食べたかったのだ。脂身のない、淡白な味わいなので七味唐辛子をパパッとかけてみたところ、これが大正解。肉の旨みが引き立って、思わずご飯を掻き込んでしまった。

いやぁ、久しぶりに美味しいラーメン、いや、「中華そば」だな、これは。久しぶりに美味しい中華そばを食べることができて大満足だった。また、幸田町に来ることがあればリピートは決定だ。

見知らぬ土地での“ひとり飯”は、風景写真の撮影に似ている。風景写真は、その場所でどんな写真が撮れるのかをイメージすることから始まる。それと同じで、その土地で何を食べようかと考えた時点で“ひとり飯”は始まっているのである。