永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

負けてたまるか!

日本国内における新型コロナの感染から1年が経った。新型コロナによって人生を大きく変えられた人も多いだろう。仕事を失った人や会社を閉鎖した人もいると思うし、アスリートやミュージシャン、役者も路線変更を余儀なくされていると思う。

今年3月末までにすべてのレギュラー仕事を失う私もその一人かもしれない。しかし、不思議なことに気持ちはあまり後ろ向きではない。むしろ、これからどんな出会いがあるのだろうかとワクワクしている。

仕事を失うということは、生活の糧を失うことを意味する。私が20代や30代だったら、仕事を辞めるという選択をしていたかもしれない。50代となった今、カメラマン、ライターという仕事に見切りをつけるという気持ちは微塵もない。

辞めたところでツブシはきかないし、何よりも自分のやりたくないことはしたくない。石に齧りついてもでも、あと15年は踏ん張り続けようと思っている。諦めさえしなければ、必ず道が拓けると信じている。新型コロナごときに人生を狂わされてたまるかってぇの!

大学院生と大学生の息子がいると、お金がないというのも苦しいのだが、何よりも辛いのは、取材や撮影に行けないことである。自らの屋号を“取材屋”としている以上、取材して、撮影してナンボ。写真を撮らないカメラマンや、記事を書かないライターなんて何の役に立つというのか。

それは料理人とて同じだろう。美味しい料理が作りたくて、さらには自分の作った料理でお客さんに喜んでもらいたくて料理人になったはずだ。それができないとなると、両腕をもがれてしまった気分になると思う。

飲食店へ取材へ行くと、正直言って、よい話はほとんど聞かない。自分の店も大変だというのに、彼らは食材やお酒などを仕入れている卸問屋や生産者の心配をしている。そんな姿に私はいつも心を打たれている。

多くの人が携わっているから、店が成り立っている。フリーランスである私も、仕事のオファーをくださる編集者やクライアント様がいるから、カメラマンとして、ライターとしてワガママに生きていけるのである。

新型コロナの緊急事態宣言によって、家で過ごすことが増えた。今一度、自分がお世話になっている方やかつてお世話になった方に感謝するとともに、どうすれば恩に報いることができるのかを考えてみようと思う。