ライターとひと口に言っても、多種多様。多分、私は取材ライターとしてカテゴライズされる。「たぶん」と書いたのは、取材ライターしか知らないからだ。最近、Webライターというフレーズを耳にするけど、接点がないから具体的な仕事内容はまったくわからない。
取材ライターは、取材相手となる誰かと会って、インタビューしたことを文章にまとめるのが仕事である。ブログの読者様もご存知の通り、私がテーマとしているのはグルメ取材である。
たまに「ジャンルを問わず何でも書きます」というライターがいる。一見、器用でツブシがきくように思われるが、実はそうではない。取材ライターであるならば、絶対に専門ジャンルを確立した方がよい。
それは仕事のオファーを出す編集者の立場で考えてみると、よくわかる。いろんなジャンルについて浅く広く知っているライターよりも、1つのジャンルについて深く知っているライターの方が記事の内容も必然的に濃くなる。つまり、読み応えのある記事になるということだ。
少し前、あるWebメディアにいつも書いているグルメ以外のプランを提出したことがあった。結果は見送られた。その理由について編集担当から、
「ナガヤさんからグルメ以外の企画をいただいたことにとても違和感がありました。○○○(媒体名)は、“誰が書くか”にもこだわっています」との連絡があった。プランが通らなかった悔しさよりも、私をフードライターとして認めていただけていることを嬉しく思った。
取材ライターは、取材するジャンルによって専門的な知識が必要となる。が、グルメ取材にはあまり必要ない。旬の食材や調理法なんかは取材しているうちに知識として身につくし。専門知識が不要な、いわば誰でも参入できるジャンルだからこそ、自分にしか書けない記事を書かねばならない。
少し前まで、グルメ記事の主役は料理やそれを作った料理人であり、書き手のキャラクターや考えを前面に出してはならないと思っていた。その根底には、読者の代わりに料理を食べてレポートするのがフードライターの役目であるという考えがあり、仮に書き手の常識がズレていたら読者の共感を呼ばない。それを恐れていたのだ。
しかし、個性を無にして書くのは、ツマラナイ(笑)。編集担当のリアクションを見ながらチョイチョイと私のキャラを出していった。幸いにも「テメェ!何様の分際だぁ!?ゴルァ!!」と、怒られることはなく、逆に「面白いかったです♡」と言われた。
また、取材させていただいた方からも、記事が掲載されたお礼とともに「長いことこの仕事をやっていてよかった」とよく言われる。それは私がフード取材の主眼を人に置いているからである。
料理人は華やかな世界に生きていると思うだろうが、実際は単調な作業の積み重ねである。その中でクリエイティブな発想を見出してカタチにするのが人気店の料理人なのだと思う。私はフードライターとして、彼らが作った料理を彼ら自身の生きざまとともに紹介したい。それが私にしかできないことだと勝手に思っている。